エネコミ

2017年10月配信

2017年 10月18日
地層処分特性マップの意見交換会を開始/一般向けに解説、議論

 原子力発電環境整備機構(NUMO、近藤駿介理事長)と経済産業省・資源エネルギー庁は17日、高レベル放射性廃棄物の地層処分に適性のある地域を日本地図上に反映させた「科学的特性マップ」について、一般向けの意見交換会を都内で開始した。マップの内容や今後の処分地選定の進め方について、参加者が直接、疑問点や質問を投げ掛けた。今年度中に福島を除く全ての道府県庁所在地で開催する計画。
 全国を対象とした意見交換会は、7月にマップが提示されて以降、今回が初めてとなる。マップの位置付けや提示の意義などを分かりやすく紹介し、国民的な議論につなげることが狙い。
 意見交換会は2部構成で実施した。前半は経産省の有識者会議で委員を務める山崎晴雄・首都大学東京名誉教授、高橋嘉明・東京電力ホールディングス(HD)渉外・広報ユニットソーシャルコミュニケーション室兼立地地域部リスクコミュニケーター、小林大和・エネ庁放射性廃棄物対策課長、伊藤眞一・NUMO理事が登壇した。
 伊藤理事は、主に地層処分の進め方について、直接処分などと比較した場合のメリットや処分地選定までに文献、概要、精密と3段階の調査を行うことなどを説明。小林課長は、マップで塗り分けられた4色それぞれの意味合いや分類の元となった要件・基準などを解説した。
 後半に行われた参加者との直接対話では、全体を6〜7人程度・6グループに分け、それぞれのテーブルにNUMOの担当者、エネ庁職員らが同席し、質問に答えた。参加者からは「マップは火山や活断層など地表のデータに偏っている。地下の性状も知りたい」「様々な調査を経て、既に立地している原子力発電所の場所もマップにプロットしてほしい」といった意見・要望が出た。
 閉会に当たってあいさつした近藤理事長は、「多岐にわたる論点を提示頂いた。NUMOになら地層処分を任せてもよいというところに至るにはまだ道のりは長く、努力の余地もある。機会を捉えて今後も取り組みの内容をお伝えしていきたい」と述べた。意見交換会は今後、週2〜3回程度のペースで順次、各地で開催される。

(電気新聞2017年10月18日付1面)