エネコミ

2017年10月配信

2017年 10月20日
環境配慮型電力入札、基準一律化は見送り/環境省が見直し案を了承

 環境省が19日開いた有識者委員会で、環境配慮型電力入札制度の見直し案が了承された。小売電気事業者の入札資格を判断する「裾切り方式」の基準は、2018年度も一般送配電事業者の供給区域ごとに設定する。一方、より環境に配慮した電力入札の実施に向けて、複数の供給区域をグループ化できる裾切り基準の導入を視野に、入札参加者数の指標化などに着手する方針も示した。
 環境省は、8月末から環境配慮契約法基本方針検討会の電力専門委員会(座長=山地憲治・地球環境産業技術研究機構理事・研究所長)を開き、見直し案の検討を重ねてきた。30日に開催予定の環境配慮契約法基本方針検討会で、今回の結果を報告する。その後、意見募集を経て、年内に改定案を取りまとめる予定。来年2月上旬の閣議決定を目指す。
 環境配慮型電力入札は、政府や独立行政法人などの施設で実施。入札では「裾切り方式」を採用しており、二酸化炭素(CO2)排出係数や未利用エネルギーの活用状況、再生可能エネルギーの導入状況によって、70点以上で入札資格が得られる。
 有識者会議では供給区域の一部で異なる判断基準について、より環境に配慮した入札とするために全国一律化することも検討項目に挙がったが、北陸、中国、四国エリアで新電力の参入が少なく、入札参加資格を得られる事業者が少ないことなどを理由に見送った。
 一方、19年度以降を見据え、来年度も電力専門委員会で一律化に向けた議論を続ける。まずは可能な限り、供給区域のグループ化を目指す方針。重要な評価項目となるCO2排出係数の区分が同程度であることを前提に議論を進める。
 今回了承された見直し案では、グリーン電力・熱証書やJ―クレジット制度で認証された再生可能エネ由来の電力量も評価対象とした。小売電気事業者が非化石価値取引市場から調達したFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)電気の評価は、制度の詳細が決まった段階で検討する。料金メニュー別のCO2排出係数を採点基準の中でどう扱うかについても議論継続となった。

(電気新聞2017年10月20日付1面)