エネコミ

2017年11月配信

2017年 11月20日
パリ協定、詳細検討も論点残す/COP23閉幕、年明け促進的対話

 ドイツのボンで開かれていた国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)が18日午前(日本時間18日午後)に閉幕した。パリ協定で各国が掲げた温室効果ガス削減目標の妥当性などを話し合う「促進的対話」は、来年1月に開始することが決定。一方、実施指針(ルールブック)策定に向けた作業は、各国の主張や提案を並べた文書を作成しただけにとどまった。今後、意見集約を図るための追加会合を予定する。来年末のCOP24はポーランドのカトビツェで開催される。
 COP23では発効から1年を迎えたパリ協定のルールブック策定作業をどこまで進められるかが焦点だった。パリ協定では先進国、途上国に関わらず、全ての国が温室効果ガスの排出削減を目指す。5年ごとに削減目標の自己改善を図る仕組みも取り入れた。ただ、先進国の削減努力の不足を巡って交渉が停滞。途上国への資金支援などでも対立が深まり、閉幕は当初予定よりも大幅にずれ込んだ。ルールブックは、来年末のCOP24で策定することが決まっている。論点は多く残された形となったが、環境省幹部は「COP24に向けた土台づくりとしてはある程度評価できる」と話す。
 米国がどのような交渉姿勢で臨むかも注目を集めた。日本政府代表団として演説を行った中川雅治環境相は17日の閣議後会見で、米国のガーバー国務次官補代理、バンクス大統領特別補佐官とそれぞれ会談したことを明らかにした。その中で、米国に望ましい条件が整わない限り、パリ協定には関与しない従来通りの方針が示されたという。

(電気新聞2017年11月20日付1面)