エネコミ

2017年12月配信

2017年 12月7日
温室ガス削減の貢献量試算、年度内に統一指針/経産省研究会が初会合

 経済産業省は、日本企業が製品・技術の普及を通じて温室効果ガスの排出削減に貢献した際に、削減貢献量を定量的に試算するための指針の策定に着手した。パリ協定を受けた世界の温室効果ガスの大幅削減に貢献するため、経産省は省エネルギー性能に優れた製品や技術の国際展開を推進している。製品・技術の広範な普及には、生産から使用に至る排出削減への貢献度を定量的に測ることが必要と判断したが、定量化の考え方が業界ごとに異なることから、統一的な指針を年度末までにつくる。
 6日に指針策定に関する有識者研究会の初会合を開き、削減貢献量の(1)定義(2)算定範囲(3)評価期間(4)算定に用いるベースライン――などを固めるための議論を始めた。研究会の名称は「グローバル・バリューチェーン貢献研究会」。学識者・研究者計4人の委員で構成する。海外の産業界をどのように巻き込むかも議論する。
 初会合では日本化学工業協会、日本鉄鋼連盟と電機・電子業界でつくる「電機・電子温暖化対策連絡会」の3団体が、製品の排出削減貢献量の評価例をそれぞれ紹介した。日化協は化学材料が使われるLED電球、鉄連は高機能鋼材、電機・電子温暖化対策連絡会は低炭素社会実行計画で示した製品の評価例をそれぞれ説明した。
 委員からは「産業界が温室効果ガス削減のインセンティブを持てるような指針をつくるべきだ」「あまりがっちりした指針をつくると実効性が低くなるので留意が必要」といった意見が出た。
 日本企業の優れた製品や技術を国際展開して削減貢献量を測る考え方は、経産省の有識者会合「長期地球温暖化対策プラットフォーム」が4月に出した報告書に盛り込まれている。同報告書は政府が2018年度中にも策定を始める「長期戦略」のたたき台となる。

(電気新聞2017年12月7日付1面)