国際エネルギー機関(IEA)は14日、2040年までのエネルギー市場の見通しを示した。世界の新規発電投資のうち、3分の2は再生可能エネルギーに集中し、発電量の4割を占めるとした。発展途上国の電化が進んで増加する電力需要を、低炭素電源で賄うという見立てだ。
同日、都内でIEAのティム・グールド・エネルギー供給見通し担当部長が解説した。グールド氏は「需要が増えた分の85%を天然ガスや原子力、再生可能エネといった低炭素なエネルギーが賄う」と指摘した。
中国の石炭消費は13年にピークを迎えたと分析し、代わって太陽光発電などの再生可能エネの導入が拡大するとみる。グールド氏は太陽光発電の競争力が高まっていると指摘し、エネルギーの一大需要国のインドでは「25年にも石炭火力より安くなる」と予想した。
天然ガス需要については、増加分の9割をLNG(液化天然ガス)が占めるとした。米国やオーストラリアのほか、モザンビークといった新たな供給国が現れる。一方、グールド氏は「インフラ開発の資金をどう調達するかは不透明」と指摘した。
自動車の普及も各国で進むと展望した。現在、世界の自動車台数は10億台で、そのうち電気自動車(EV)は200万台。40年に自動車台数は20億台と2倍に増える一方、EVは150倍の3億台まで加速度的に普及すると見通した。
(電気新聞2017年12月18日付3面)