エネコミ

2017年12月配信

2017年 12月19日
17年度販売電力量、来年度0.2%増に鈍化/エネ研予測、中国の景気減速で

 日本エネルギー経済研究所は18日、2018年度までの日本のエネルギー需給見通しをまとめた。17年度の販売電力量は、アジア輸出などを追い風に好調な経済や、冬季の冷え込みなどを背景に前年度比1.2%増と予想した。18年度は、環境規制を強化する中国の景気が減速に向かい、日本経済を冷え込ませる可能性を考慮し、同0.2%増にとどまると見立てた。
 エネ研の分析によると、17年度は冬季の気温低下が早く、暖房需要が高まっている。企業活動ではIT産業の活性化による半導体生産などが好調で、特別高圧・高圧分野が全体を牽引する。18年度は外需の鈍化が見込まれ、気温を平年並みと想定すると、販売電力量の伸び率は落ち込む。
 都市ガス販売量は17年度、事業者の需要開発活動や経済活動の拡大により、同2.9%増と予測。18年度は同1.4%増と減速するが、3年連続で過去最高を更新する見通しを示した。
 原子力発電所については、18年度に9基が稼働している状況を「基準シナリオ」とした。全く稼働しない場合に比べ、化石燃料の輸入額を7千億円、二酸化炭素(CO2)排出量を3400万トン、それぞれ削減できると試算した。
 世界の原油市場も考察した。北海ブレント原油の先物価格は18年平均で、現状から微増の1バレル=65ドルと予想した。油価回復が追い風となり、北米やブラジルなどが生産増の動きをみせるが、石油輸出国機構(OPEC)と主要産油国の協調減産や、発展途上国の底堅い需要増などによって、需給バランスが引き締まる方向だと見立てた。

(電気新聞2017年12月19日付3面)