1988年の発効から7月で30年の満期を迎える日米原子力協定が、自動延長されることが確定的になった。日本が掲げる核燃料サイクルが維持されることになるが、米側には依然、日本のプルトニウム保有への懸念があるとみられ、適切なプルトニウムバランスを確保するための施策が今後も必要になる。
現行の協定は7月16日で30年の満期を迎えるが、半年前までに両国から終了の通告がなければ、自動延長される仕組みだ。米エネルギー省(DOE)のブルイエット副長官は昨年10月、都内で「再交渉の理由はない」と明言。自動延長の意向を示していた。
米国内の一部でくすぶる協定見直しの動きや、トランプ政権発足直後のスタンスが不明確なことから期間満了に向けた協定の動向が注目されたが、本格的な政府間の交渉に至ることなく、自動延長を迎えることになる。
ただ、自動延長後は日米いずれかが通告すれば、半年後に協定が終了するため、米側の意向に左右されやすいのも事実。日本政府も「不安定な状態」(河野太郎外相)と懸念を示している。
米国が引き続き「お墨付き」を与えた形の日本の核燃料サイクルだが、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」は廃止が決定。また、日本原燃の使用済み燃料再処理工場とMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料加工工場はそれぞれ竣工時期が3年繰り延べとなるなど、引き続き道のりは険しい。新規制基準に適合したプラントを早期に立ち上げ、プルサーマルを推進することでプルトニウムを着実に消費していくことが不可欠になる。
現状、日本は国内外で47トンのプルトニウムを保有している。原子力委員会は16日の会合で、2003年に策定した「プルトニウム利用の基本的な考え方」を改定することで一致。長期的な保有量の削減などを検討し、年内にも取りまとめる。
(電気新聞2018年1月18日付1面)