◆石炭火力 CO2削減必要性指摘/原子力「低炭素なベース電源」
環境省は、19日に開いた中央環境審議会(環境相の諮問機関)総合政策部会(部会長=武内和彦・地球環境戦略研究機関理事長)で、第5次環境基本計画の素案を提示した。「環境・経済・社会の統合的向上に向けた取り組み」をキーワードに、それを実行する6つの重点戦略を設定した。電力部門に関する記述では、石炭火力からの二酸化炭素(CO2)排出削減の必要性を指摘。一方、原子力に関しては「低炭素なベースロード電源」とし、原子力規制委員会の新規制基準に適合すると認められた場合、その判断を尊重すると明記した。
会合では、委員から「経済産業省が策定するエネルギー基本計画と整合性を図るべき」などの意見が出たが、素案に関して大きな異論はなかった。次回の会合で引き続き議論する。環境省は年度内に原案を取りまとめる方針。今春の閣議決定を目指す。
基本計画の素案では「持続可能な生産と消費を実現するグリーンな経済システム構築」や「持続可能性を支える技術の開発・普及」など6項目を重点施策に位置付けた。このうち、グリーンな経済システムの構築では、環境ビジネスが日本経済の牽引力となるよう育成する方針を提示。再生可能エネルギーの最大限の導入や水素利用の拡大などに取り組み、産業競争力の強化につなげる。
重点施策を支える環境政策も示した。電力部門に関する記述では石炭火力について、パリ協定と整合するよう排出を大幅に低減させる必要があると指摘。一方、原子力に関しては、16年5月に閣議決定した地球温暖化対策計画と同様の記述を盛り込んだ。
環境基本計画は1994年に第1次計画を策定。その後、6年ごとに次期計画を示している。現行の第4次計画は旧民主党政権下の12年4月に閣議決定された。
(電気新聞2018年1月22日付2面)