九州電力は3日、鹿児島県と関係9市町が主催した原子力防災訓練に参加し、川内原子力発電所での事故対応を確認した。訓練には、約180機関の関係者や住民など合計で約4400人が参加。避難手順や被ばく検査の手続きなどを確認した。川内原子力では2号機の全交流電源喪失を想定し、関係機関への連絡やプラントでの緊急時対応を実施。発電所敷地外では、九州電力社員による福祉施設の要支援者搬送訓練も行われた。
鹿児島県と川内原子力30キロメートル圏内9市町との共催による防災訓練は、2015年の再稼働以降、今回で3回目。九州電力からは川内原子力や本店などから約480人が参加した。薩摩半島西方沖で発生した震度7の地震により、川内原子力1、2号機原子炉が自動停止。外部電源喪失後、非常用ディーゼル発電機による冷却を続けている中で、2号機ディーゼル発電機が全台故障し、全交流電源喪失に至るという想定で行われた。
薩摩川内市内のオフサイトセンターには、国や自治体職員による現地対策本部が設置され、県や9市町とテレビ会議と通じ対応を協議。まず予防的防護措置準備区域(PAZ)内の要支援者、次いで一般住民が避難。緊急時防護措置準備区域(UPZ)内の住民は屋内待避し、その後、一部地域で放射線量が上昇したため、避難に移行するといった対応が確認された。
川内原子力構内の緊急時対策所には社員約70人が集まり、事故発生を関係機関に連絡。本店(福岡市)の瓜生道明社長がテレビ会議を通じて、「全力で事故収束対応に当たってほしい。必要な物資があれば速やかに連絡を」と呼び掛けた。その後、移動式大容量ポンプ車により格納容器冷却手段を確保するまでの一連の対応を確認した。
この他、構内の放射線管理区域をパトロール中に社員2人が負傷したとの想定で救急車搬送訓練を実施。構内治療室で放射線を計測しながら傷口を除染し、汚染拡大防止措置を行った上で、救急車に搬送する手順などを訓練した。
(電気新聞2018年2月6日付2面)