エネコミ

2018年2月配信

2018年 2月8日
18年度以降のFIT価格案/太陽光18円に引き下げ、小型風力は経過措置

 経済産業省の調達価格等算定委員会は7日、2018年度以降のFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)買い取り価格案を提示した。低・高圧の事業用太陽光(10キロワット以上2千キロワット未満)は、現行の1キロワット時当たり21円から18年度に18円へ引き下げる。陸上風力は20年度に18円とし、それまでに段階的に価格を下げる。一方、小型風力(20キロワット未満)については18年度以降、陸上風力と同区分で扱われるが、一部に経過措置を設ける方針だ。
 買い取り価格案は、至近のコストデータを基に算出した。今後、関係省庁との協議や意見募集を経て、17年度末までに経産相が正式決定する。
 この他の電源では、地熱と水力の全区分で19年度までの価格を20年度も据え置く。バイオマスに関しては、18年度以降、パーム油などバイオマス油脂も含めた全ての液体燃料を「バイオマス液体燃料区分」として一体的に取り扱う。これらを除く1万キロワット未満の一般木質は18年度も24円と据え置き、19年度以降は未定とする。
 また、1万キロワット以上の一般木質とバイオマス液体燃料の全規模は来年度以降、入札によって買い取り価格を決定する。入札量はそれぞれ18万キロワット、2万キロワットと定めた。
 一方、小型風力は18年度以降、買い取り区分を撤廃し、陸上風力に一本化する。7日の算定委では、買い取り価格が現行の55円から30円以上も下がることから、一定の経過措置を設ける案が提示された。
 具体的には、土地の確保など必要な手続きを済ませ、FIT申請を行う直前まで進んでいる案件に限り、経過措置の対象とする。その条件として、18年3月末までに接続契約以外の必要書類を全てそろえ、FIT認定の申請が行えるような状態を整え、18年8月末までに接続契約を締結することとした。
 出席した4人のうち3人の委員が反対の立場を表明。高村ゆかり委員は相当数の申請が既に出ており、国民負担の観点から「追加的に認定する積極的な理由は見いだせない」と強調。太陽光・バイオマスと同じく「駆け込み申請」が今後増える可能性があることに懸念を示した。
 これに対し、山内弘隆委員長代理は「事業化が確実なものには何らかの形で経過措置を設けるべき」と主張。妥協案として、FIT認定の申請と接続契約締結の期限をそれぞれ1カ月前倒しすることを提案し、了承を取り付けた。

(電気新聞2018年2月8日付1面)