エネコミ

2018年2月配信

2018年 2月21日
エネ基本計画、技術革新の促進を/基本政策分科会が経済団体などヒア

 エネルギー基本計画の見直し作業を担う総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の基本政策分科会(分科会長=坂根正弘・コマツ相談役)は20日の会合で、日本経団連、全国消費者団体連絡会(全国消団連)などからヒアリングを行った。原子力や石炭火力の扱いについては各者で相違があったものの、イノベーションの促進や持続可能な社会を目指す方向では一致した。次回会合は3月に開き、年度内にも分科会としての見解をまとめる。
 経団連、全国消団連のほか、日本商工会議所、日本労働組合総連合会(連合)が出席した。経団連は2030年度の電源構成(エネルギーミックス)の実現に向けた取り組みを加速させるよう要望。化石燃料も効率化・低炭素化を前提に、安定的な資源調達を進めるべきと強調した。
 また、原子力は安全確保を第一として、着実な再稼働と運転期間の60年への延長を目指す必要性を指摘。長期的な温暖化対策の観点から、「リプレース・新増設も政府施策に盛り込むべき」と主張した。
 日商も「S+3E」の考え方を堅持し、地に足の着いたエネルギー政策を展開することを要請。電気料金の高騰を招いたとしてFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)の抜本的見直しを求め、再生可能エネの普及には導入支援ではなく、コスト削減につながる技術開発支援にシフトすることを提起した。
 一方、全国消団連は東京電力福島第一原子力発電所事故を例に、制御困難で廃棄物処理のめどが立たない原子力の新増設・リプレースに加え、世界的な“脱炭素化”の流れから、石炭火力の新設にも反対の意見を表明。再生可能エネの最大限の導入と、徹底的な省エネルギーなど需要サイドから対策を講じるべきとした。
 各者とも30年以降を見据えたイノベーションの必要性や持続可能な社会の構築といった点で意見は一致した。委員からは「発電コストが高止まりすると、イノベーションが阻害される」「工業国家として原子力の維持は不可欠」といった声が上がった。
 分科会では3月中に会合を開き、取りまとめの議論に入る。その後、並行して50年時点でのエネルギー・産業の在り方を検討している「エネルギー情勢懇談会」とのすり合わせに移る予定。(2面に委員発言要旨)

(電気新聞2018年2月21日付1面)