◆冷却材喪失を想定
九州電力は8日、玄海原子力発電所3号機の「重大事故等対応訓練」を開始した。同訓練は、保安規定に基づき、再稼働前に原子力規制庁の保安検査官立ち会いの下で実施する。1次冷却材配管の破断による原子炉冷却水喪失を想定し、非常用設備を使って原子炉格納容器圧力を安定させるまでの手順などを確認する。8日には、中央制御室での初動対応、大容量空冷式発電機起動の様子などが報道陣に公開された。
訓練は10日まで行われる。事故発生後24時間に起こり得る事象やそれらに対応した作業手順を3日間に分け実施。初動対応要員52人に記録係などの補助員を加えた約90人が参加したほか、原子力規制庁の検査官14人が訓練状況を確認した。
訓練初日の8日午後2時に中央制御室で1次冷却材の漏洩を検知するとともに、全交流電源喪失が発生。これに伴い、既設の非常用炉心冷却装置、格納容器スプレーなどが動作不能と想定した。事故発生後10分程度で運転員が1次冷却材配管が大きく破断し冷却材が喪失していると判断。電源確保のため、大容量空冷式発電機を中央制御室から遠隔起動した。その後、対策要員の1人が防護服姿で発電機設置場所に向かい、起動状況に異常がないかを確認した。
初日は電源回復後、常設電動ポンプで格納容器スプレーを再開するまでを確認。2、3日目に復水タンクへの給水や移動式大容量ポンプによる熱交換器への海水注入などを行い、格納容器内の圧力を安定させるまでの一連の手順を訓練する。
(電気新聞2018年3月9日付2面)