環境省は12日、電気事業分野を対象とした地球温暖化対策の2017年度進捗状況について、「課題や懸念がある」とする見解を示した。環境省と経済産業省が16年2月に交わした合意に基づいて、電気事業の30年度における温室効果ガス排出削減目標達成に向けた進捗評価を毎年実施することにしている。電力各社や新電力などで構成する「電気事業低炭素社会協議会」の取り組みに関しては、「競争関係にある中、各社に取り組みを促していくという履行担保の実効性の観点で様々な課題がある」としている。
1キロワット時当たりの二酸化炭素(CO2)排出係数0.37キログラムを達成するため、効果を上げているかを検証。政策的対応の評価では「省エネ法ベンチマーク指標」でバイオマス混焼時の発電効率の算出方法など、CO2排出削減を担保する制度の設計に課題があると指摘した。エネルギー供給構造高度化法については、現時点で30年度に向けた取り組みが進捗していると評価することは難しいとした。
12日に環境省が評価結果案を示し、有識者から意見を聴取。浅野直人・福岡大学名誉教授は「30年度目標は最低限のものでさらに強化しなければならない」と述べた。
(電気新聞2018年3月13日付2面)