エネコミ

2015年12月配信

2015年 9月11日
九州電力川内1号機が営業運転入り/新規制基準の許認可、すべてが完了

 調整運転中の九州電力川内原子力発電所1号機(PWR、89万キロワット)が10日、営業運転に移行した。同日午後4時に、使用前検査のうち発電所の総合的な性能を見極める「5号検査」、定期検査の最終検査となる「総合負荷性能検査」に合格。今回の営業運転入りで、次回定期検査まで最大13カ月間の運転が可能になるため、順調に進めば来年の10月まで運転を続ける見通し。新規制基準下における審査を経て、営業運転を再開する原子力プラントは初めて。
 同日、発電所内の原子力訓練センターで、原子力規制庁の大場國久首席原子力施設検査官が、九州電力の藤原伸彦執行役員・川内原子力発電所長に、使用前検査合格証と定期検査終了証を手渡した。手交後、報道陣の取材に応じた藤原所長は「たまたま(再稼働が)トップになったが、平常心で運転したい」と強調。その上で「東京電力福島第一原子力発電所の事故を見れば(住民が)不安に思うのは当たり前。いっぺんに払拭されるわけではないので、地道に運転を続ける」と述べた。
 両検査は9日午後にスタートし、同日は書類確認が行われた。10日は朝から中央制御室で原子炉出力や圧力、タービン振動状況などのデータに異常がないか確認が行われたほか、書類の検査も行われ、午後4時に両検査が終了した。
 1号機は8月11日に原子炉を起動。同14日には発電機と送電系統を接続する並列操作が行われ、発電・送電を再開した。また、同31日には定格熱出力一定運転に入っていた。2013年7月に新規制基準が施行されたのを受け、九州電力は川内1、2号機の原子炉設置変更許可、工事計画変更認可、保安規定変更認可の3許認可申請を原子力規制委員会に提出。1号機に関しては10日をもって、一連の審査・検査が終了した。
 使用前検査などが続く2号機に関しては、きょう11日に燃料装荷作業を始め、10月中旬の発電再開を見込んでいる。

(電気新聞2015年9月11日付1面)