◆安全性向上への取り組みを継続
九州電力川内原子力発電所1、2号機の営業運転を受け、同社の瓜生道明社長は18日、鹿児島県庁、薩摩川内市役所を訪問した。県庁で伊藤祐一郎知事と会談した瓜生社長は、報道陣の取材に「営業運転はゴールではなく(原子力安全の)スタート。これまで以上に自主的・継続的な安全性向上への取り組み、積極的な情報公開と丁寧なコミュニケーションを実施すると(知事に)お伝えした」と述べ、伊藤知事からは安全運転への強い要望があったことを明かした。
瓜生社長は同日午前に市役所、午後に県庁を訪れたほか、市議会、県議会にもあいさつした。市役所で行われた岩切秀雄市長との会談には、藤原伸彦執行役員・川内原子力総合事務所長も同席。瓜生社長は岩切市長に営業運転移行の報告をした後、「我々は電力の安定供給に関するDNAは持っているが、これからは原子力安全のDNAを、原子力部門だけでなく社員一人一人に持ってほしいとお願いしている」などと強調した。
対する岩切市長は「頑張って新しい基準をクリアされたことをうれしく思う。安全第一で運転して頂きたい」と再稼働を歓迎し「(後続機の)素晴らしいモデルになって頂ければ」と話した。
岩切市長は会談後、報道陣の取材に「市民との信頼関係を得るために、企業誘致に努力してほしいと(瓜生社長に)要望した」と述べ、岩切市長個人としては「(川内原子力が立地する)久見崎地区に誘致したいと考えている」と説明した。その上で「九電関連の企業を含め、九電幹部の方は様々な企業とのつながりがある」と話し、九州電力の企業誘致協力に期待を寄せた。
その後行われた伊藤知事との会談には、原英生執行役員・鹿児島支社長も同席。会談後の取材で3号機増設について話があったかどうか問われ、瓜生社長は「全くなかった」と説明し、運転から約30年が経過した1、2号機について「60年運転に向け頑張っていく。せっかくある設備なので長く活用したい」と述べた。
(電気新聞2015年11月19日付2面)