◆川内再稼働で需給状況緩和
◇予備率、8%前後を確保/点灯帯の節電呼び掛け
毎年やってくる夏冬の重負荷期に、厳しいといわれ続けてきた九州電力エリアの電力需給。それに大きなインパクトを与えるのが、川内原子力発電所1、2号機(PWR、計178万キロワット)の再稼働だ。2号機(89万キロワット)は11月1日に定格熱出力一定運転へ移行、1号機(89万キロワット)の定熱一定運転(8月31日)と合わせ、178万キロワット超の供給力が加わることとなった。
九州電力が10月30日に示した今冬の電力需給想定によると、2011年度並み厳寒の場合でも、1月に予備率7.8%(予備力119万キロワット)、2月に予備率8.8%(予備力133万キロワット)を確保できる見通し。毎年頼っていた他電力会社からの応援融通なしで、瞬間的な需給変動に対応するために必要とされる予備率3%を確保できるもようだ。
電力需給状況の厳しさはいったん緩和される見通しだが、九州電力としては、無理のない範囲での節電要請を続ける。期間・時間帯はこれまで通り、12月1日~来年3月31日までの平日(12月29日~31日までを除く)午前8時から午後9時までとなっている。
基本的には、大型火力電源1基がトラブルを起こしても、3%の予備率は確保できる見通しだが、今回の需要想定は、昨年度の約9割にあたる10年度比マイナス43万キロワットの定着節電を織り込んでいる。節電の機運が減退すれば、予備力の低下につながってしまう恐れもある。中西日本地域全体の電力需給を踏まえても、節電の意義は大きい。
九州電力では今後も政府から要請があれば、電気事業者として節電の呼び掛けを続ける方針。なお、今冬需要における離脱の影響は、10年度比でマイナス33万キロワットとしている。
冬の節電で重点的に取り組みたいのが、家庭などで照明や暖房が使われだす午後5~8時の点灯帯だ。この時間帯は、太陽光発電を供給力としてほとんど見込めなくなる。今冬の時間最大電力1515万キロワットの発生も午後6時台を想定しており、その時間帯の太陽光の供給力はゼロと想定された。特にこの時間帯は、経済活動や健康などに支障のない範囲で節電に協力することが望まれる。
(電気新聞2015年11月24日付18面)