九州電力は17日、川内原子力発電所1、2号機の特定重大事故等対処施設(特重施設)について原子炉設置変更許可申請を原子力規制委員会に提出したと発表した。原子炉補助建屋などへの大型航空機衝突やテロによる原子炉冷却機能喪失、炉心損傷に備える。フィルターベントや機器を操作・監視する緊急時制御室など格納容器破損防止の設備を設置する。所外からの受電回線数増強といった自主的対策も含め設置費用は950億円。
原子炉設置変更許可、工事計画認可(工認)の後、着工する。着工から完成までは3年程度の見通し。
同日は蓄電池を用いた3系統目の常設直流電源設置についても申請。新規制基準では、設置済みの常設直流電源設備に加え、もう1系統の電源設備が要求されている。特重施設、常設直流電源設備の追加については先月の規制委において、猶予期間を本体施設の工認から5年とする見直し案が提示された。川内1号機の工認取得は今年3月、2号機は5月。
当初、緊急時対策所の機能とその支援機能を備えた「免震重要棟」を設置する方針だったが、新規制基準で要求される緊対所の機能は運用中の「代替緊急時対策所」で満たした。それを踏まえ申請書にない自主的取り組みとして、支援機能を備えた地上2階・地下2階の「耐震支援棟」を代替緊対所近傍に設置する。免震重要棟は設置せず代替緊対所は「緊急時対策所」に変更される。
既に特重施設を申請しているのは東京電力柏崎刈羽原子力発電所1、6、7号機、関西電力高浜発電所3、4号機、Jパワー(電源開発)大間原子力発電所の3サイト。
(電気新聞2015年12月18日付1面)