エネコミ

2016年3月配信

2016年 3月4日
九州電力、豊前発電所内のNAS電池が全運開/世界最大級の蓄電システム

◆需給バランス改善を実証

 九州電力は3日、豊前発電所構内に設置していたナトリウム硫黄(NAS)電池を用いた大容量蓄電システムの運用を始めたと発表した。出力5万キロワット・容量30万キロワット時は世界最大級の蓄電設備となる。今後、太陽光発電の出力制御量緩和に向け、揚水発電と同等の電力貯蔵機能を活用した需給バランスの改善や、系統電圧制御に関する実証を行う。 先月10日に1号系列が運用を始め、3日の2号系列運開で全ての設備が稼働した。設置工事は昨年6月にスタートし、8月からNAS電池のコンテナ搬入を開始。約1万4千平方メートルの土地を確保し、200キロワットのコンテナ252基を今年1月7日までに設置していた。
 国の補助事業に応募し、採択されたため、蓄電池は国の補助金を活用。補助事業採択後、制御システムなどは三菱電機が受注し、容量ベースのコストなどを考慮し、日本ガイシのNAS電池を採用した。設置地点については、2015年度中の運用開始が必要という工期面の制約から、新規に用地を確保する時間がなく、社有地を前提に検討。必要な設置面積を持つ豊前発電所を選び、その構内に変電所(豊前蓄電池変電所)として新設することとした。

(電気新聞2016年3月4日付2面)