関西電力、中国電力、四国電力、九州電力の西日本地域の電力4社は22日、原子力事業で相互協力を深める協定を締結したと発表した。原子力災害時に協力要員や資機材などの迅速な支援を行うほか、廃止措置、特定重大事故等対処施設(特重施設)の設置についても情報共有し、安全性向上の取り組みや新規制基準の下での審査対応を充実させる。事業者自身がイニシアチブをとり、地理的な近接性を生かして連携することで、一層の安全性・信頼性確保につなげたい考えだ。
原子力災害時の相互支援については2014年10月、電力9社と日本原子力発電、Jパワー(電源開発)、日本原燃を加えた12社で協力協定を結んでいる。今回はより実効性を高めるため、地理的に近い西日本の4社で追加協力に合意した。
12社の協定への追加分として、協力要員は4社合わせ100~200人規模の増員を想定。放射線モニタリングや支店・支社・営業所などでの広報対応、輸送車両の運用などで協力する。資機材は放射線防護服など消耗品の提供数量を増やし、新たにがれき撤去用重機やタンクローリーも融通する。
このほか、テレビ会議を活用して各社の原子力部門トップが発災事業者に助言したり、各社の相互参加による定期的な訓練も実施する。
廃止措置では各社の実施状況について情報共有するほか、大型工事における技術協力、除染資機材などの共同調達も検討する。安全性向上が主な目的だが、「結果としてコスト低減につながることはありうる」(関電)という。
特重施設は現在各社で原子力規制委員会による審査を受けており、今後設置が進む見通し。そこで設備仕様を統一したり、先行プラントの対応状況を共有することなどを想定している。いずれもより安全で、円滑に作業や審査対応が進むよう知見を共有したい考えだ。
協力は加圧水型軽水炉(PWR)の3社が昨年4月から協議を始め、後に中国電力も参加を決めた。今回の協定は4社でスタートするが、今後他の事業者が加わる可能性も排除しない。幹事会社などは置かないが、各社で分野ごとに連絡・調整の窓口を置く。
(電気新聞2016年4月25日付1面)