北海道電力と九州電力は10日、北海道壮瞥町が実施する地熱資源調査に協力する協定を3者で締結したと発表した。調査する場所は同町東部、黄渓地域の約25平方キロメートル。同町が主体となり2016年度に地表調査、17年度以降に調査井掘削や地熱資源量評価を実施する予定。両電力は技術面などの支援を行う。事業性を見込めると判断されれば具体的な検討に入る。判断時期は早ければ21年頃になる見通し。
壮瞥町を含む北海道胆振地域は地熱資源の有望地域。壮瞥町は洞爺湖の西に面し、有珠山、昭和新山などの火山も町内にある。
今回の調査について、北海道電力は「(発電事業が実現すれば)再生可能エネルギーの導入拡大に資する。九州電力と連携することで効率的に開発を進められる」(広報部)としている。
一方、九州電力は再生可能エネ拡大の一環として、30年までに国内外で80万キロワットの地熱を新規開発する方針。「蓄積したノウハウを活用し、目標達成に貢献できる」(九州電力地熱センター)と期待する。同社にとって初めて九州域外で手掛ける国内の地熱開発案件となる。
壮瞥町が石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の助成金を活用し調査を実施、北海道電力、九州電力は計画策定や技術面、地域対応などの支援を行う。
16年度の地表調査では地質調査、電磁探査、重力探査、地化学調査により地下構造を推定するほか、温泉モニタリングも実施する。
地表調査の結果を踏まえ、17年度以降は調査井を掘削して地熱資源の存在を確認し、続いて噴出試験で地熱資源量を評価する。調査井は数本は必要なため、掘削に4、5年かかる見込み。その後、適正な開発規模を評価するとともに温泉への影響を確認し、地熱発電事業化の可能性を判断することにしている。
(電気新聞2016年5月11日付1面)