熊本地震と九州電力川内原子力発電所1、2号機の関係について、原子力規制委員会はホームページ(HP)上で、停止する必要がないとした判断を「見解」として公表している。地震発生後、規制委は4月18日の臨時会議で、現状では川内1、2号機を停止する必要がないとの判断を示したが、この判断を巡っては国会の場でも根拠を問う声が相次いでいたため、田中俊一委員長が原子力規制庁に対し、HPを通じて考え方を公開するよう指示していた。
規制委の「見解」によると、今回の地震により川内原子力で観測された加速度は数ガルから十数ガル。スクラム(自動停止)設定値の80~260ガルと比べて十分に低い値にとどまっていると説明している。
さらに、川内原子力の適合性審査では、震源となった「布田川・日奈久断層帯」が同時活動した場合の地震規模をマグニチュード(M)8.1と見積もり、今回の地震で最大となったM7.3より保守的に見積もっていることを紹介した。
添付されている参考資料では、川内原子力で想定する基準地震動(Ss)がどのように求められたかや、震源から敷地までどのように揺れが伝わるかといった概念を分かりやすく示している。
地震発生直後、規制委の情報発信には批判が寄せられた。それを踏まえ規制委は、情報発信の体制を抜本的に強化。異常がなくても1日に2回、設備の状況をメール配信するなどの取り組みを展開してきた。
規制庁では「地震によって原子力発電所の安全性が損なわれないよう審査で確認しているが、引き続き地震の状況を監視し、原子力発電所の状況について情報発信に努める」としている。
(電気新聞2016年5月13日付2面)