フランス電力(EDF)が主導する英国の原子力新設プロジェクト「ヒンクリーポイントC」が、現地時間28日に最終投資決定(FID)される見通しとなっている。EDFが同日開く取締役会で、同プロジェクトについて議論することを明らかにしている。英国の欧州連合(EU)離脱問題に伴って、同プロジェクトの行方に不透明感が強まっていたが、曲折を経て前進する方向となった。
「ヒンクリーポイントC」プロジェクトのFIDは、繰り返し延期されてきた。労働組合などが財務上の懸念を踏まえ、慎重姿勢を打ち出してきたためだ。今回、それを振り切る形で、FIDが行われる見込み。現地メディアの報道では、28日の取締役会でのFIDが有力視されている。
EDFのレヴィCEO(最高経営責任者)はEDFの財務の脆弱性、英国のEU離脱問題など数多くの懸念が浮上する中でも、同プロジェクトの前進を訴え続けてきた。フランスの原子力産業にとって、EPR(欧州加圧水型炉)を世界に売り込んでいく上で同プロジェクトの成功が欠かせないと判断しているためだ。
英国では、日立、東芝も原子力新設プロジェクトを進めている。日立は、100%出資子会社の英ホライズン・ニュークリア・パワーを通じ、2カ所で4基・計540万キロワットの原子力を建設する計画。東芝は、同社が60%、仏エンジー(旧GDFスエズ)が40%を出資する英ニュージェネレーション(ニュージェン)を通じ、3基合計で最大360万キロワットの建設計画を持つ。「ヒンクリーポイントC」プロジェクトが頓挫した場合、両社のプロジェクトが前倒しを求められる可能性も指摘されていた。
(電気新聞2016年7月27日付1面)