九州電力の瓜生道明社長は9日、鹿児島県庁で三反園訓知事に会い、7日に知事から再度要請された川内原子力発電所の即時一時停止には応じず、特別点検を入念に行う方針をあらためて伝えた。同時に要請のあった避難支援の強化については、避難道路につながるアクセス道路の改善策や、30キロメートル圏内の要支援者避難用の福祉車両をさらに十数台追加配備することなどを回答し、理解を求めた。三反園知事は安全対策が進んだと評価し、再度の一時停止要請は行わない考え。
瓜生社長は「県民の不安の軽減につながる施策をしっかりやってほしいという要請にお答えした」と説明。三反園知事は安全対策の拡充に謝意を示す一方、即時停止しないことは「極めて残念」とした。三反園知事はその後、報道陣の取材に「安全対策が前進した」と2度にわたる要請の成果を強調。結果が伴わなければ意味がないとして、再度の停止要請の可能性は否定した。10月からの定期検査前に一部で始まる特別点検を、専門家を交えて視察する方針。
三反園知事は8月26日、瓜生社長に川内原子力の即時の一時停止・再点検と避難計画への支援などを要請。瓜生社長は5日、即時停止はせず特別点検を実施することや、避難用福祉車両の十数台の追加配備などを盛り込んだ回答書を提出した。三反園知事は一定程度評価したものの、7日に福岡を訪れ、瓜生社長に再度要請していた。
(電気新聞2016年9月12日付1面)