エネコミ

2016年10月配信

2016年 9月20日
玄海3、4号機安全審査、大筋で終了/九州電力、補正書準備へ

◆規制委、審査書案作成を本格化

 原子力規制委員会は16日、九州電力玄海原子力発電所3、4号機の新規制基準適合性審査を大筋で終えた。同日の第402回会合で、九州電力はこれまでの指摘事項を盛り込んだまとめ資料を提示。「十分な検討がなされたと考え、妥当と判断する」(石渡明委員)として了承された。規制委は今後、審査書案の作成を本格化させる。
 九州電力は、(1)地盤(2)地震(3)基礎地盤と周辺斜面の安定性(4)津波(5)火山――の全5項目で、これまでの議論を反映させたまとめ資料を提示。免震構造から耐震構造への見直しを決めた緊急時対策所について設計用基準地震動(Ss―L)に関する記載を削除したり、基礎地盤の安定性では再計算結果を明記した。また、火山影響評価では既存の文献などを基に敷地から半径30キロメートルの位置に層厚約10メートル以上の火砕流堆積物が見つかったため、これに関するデータを整理した。いずれも規制委側から目立った異論はなく、大筋で了承された。
 玄海3、4号機を巡っては、施設側でも「思い当たるような論点は残っていない」(原子力規制庁担当者)。九州電力は引き続き、原子炉設置変更許可の補正申請の準備を進める考えで、規制委もその動向を踏まえながら、審査書案の作成を本格化させる。
 一方、同日午前は日本原子力発電東海第二発電所、日本原子力研究開発機構の研究用原子炉施設「JRR―3」の合同審査が開かれた。地質構造が議題となり、両者は敷地内に分布する複数の地層について調査結果を報告。「将来活動する可能性のある断層等」がないことを裏付けた。
 規制委は原子力機構の高温工学試験研究炉「HTTR」を含め、地質構造に関するこれまでの説明が妥当かを見る現地調査を行う考えを表明。火山影響評価の一環で、敷地周辺で火山灰の分布状況なども確認する。早ければ11月にも実施される見通し。

(電気新聞2016年9月20日付2面)