PWR(加圧水型軽水炉)を採用する北海道電力、関西電力、四国電力、九州電力の4社は19日、安全性向上に向けた技術協力協定を締結したと発表した。炉型の同一性を生かし、安全性向上に関わる評価の推進や運転管理などの海外知見・ノウハウの共有・拡充、既設炉の安全性向上に貢献する新技術の調査・検討といった3分野で協力。各社の自主的・継続的な安全性向上の取り組みにつなげる。今後、分野ごとに実務者レベルでの協議など具体的な協力の在り方を詰めていく。
原子力災害時の相互支援では地理的に近い事業者同士の協力協定があるが、同じ炉型の事業者による技術協力は今回が初めて。原子力部門トップによる意見交換などを契機に7月から検討していたという。
安全性向上評価は新規制基準が要求する確率論的リスク評価(PRA)の方法や設備・運用対策の有効性に関する情報共有、さらなる安全対策の共同検討などを実施。運転・保守管理では各社個別に行っている海外事業者との情報交流なども踏まえ、知見・ノウハウの共有や相互のプラント視察などベンチマーキング調査を検討する。
新技術については、世界各国で進む次世代軽水炉や新型炉の研究開発の状況について共同調査。国内既設炉の安全性向上に役立つものを取り込む。
今回対象とした3分野以外でも、安全性向上が期待できる場合は協力を広げる。緊密な連携により、個別の電力会社が取り組んでいる安全対策の優れた点などを水平展開し、PWR事業者全体の安全性の水準を引き上げたい考えだ。
(電気新聞2016年10月20日付1面)