エネコミ

2016年11月配信

2016年 11月2日
九州電力、地域・社会共生活動で新CM/坊ガツル湿原の環境守る

◆「野焼き」の取り組み紹介

 「私たちも地域の一人です」という声が耳に残った。画面に映し出されたのは、坊ガツル湿原(大分県竹田市)の美しい自然と湿原環境を守るために必要な「野焼き」作業の様子。そして、地域の一員として作業する九州電力社員の姿だ。同社が2000年から取り組む「坊ガツル湿原環境保全活動」をPRするテレビCMの放映が10月31日から始まった。
 CM「地域のひとり」編は九州電力の地域・社会共生活動への取り組みを広く伝えることを目的に制作。CMの舞台となった坊ガツル湿原は「九州の山のオアシス」とも呼ばれ、年間10万人を越える登山者が訪れる。くじゅう連山の山に囲まれた標高約1200メートルにある広い盆地で、ノハナショウブやサワギキョウといった美しい高山植物が生息している。
 現在、野焼きの運営を担っているのは「坊がつる野焼き実行委員会」と、5月に設立された九電みらい財団。九電みらい財団は、九電グループが長年培ってきたノウハウを活用して湿原の生態系に悪影響を与える外来種駆除などに取り組んでいる。
 CMのナレーションは福岡県久留米市出身の女優・田中麗奈さんで、九州の民放テレビ局23局で放映される。テレビ放映以外にも街頭ビジョンや映画館での上映、ラジオCMの放送なども合わせて展開。テレビCMは、ユーチューブの九州電力公式チャンネルでも公開する。
 坊ガツル湿原は地元放牧組合が野焼きを実施し、維持管理してきたが後継者不足のため、1960年代後半から野焼きが行われなくなり、荒れた原野となっていた。同社は地元団体の協力の下、「坊がつる野焼き実行委員会」を発足。2000年に野焼きを再開。地域に根差す企業として湿原環境保全活動を継続している。05年には、坊ガツル湿原が国際的に重要な湿原を保全するラムサール条約に登録された。登録の記念式典では、竹田市が九州電力旧大分支店に感謝状を贈呈し、取り組みをたたえた。
 九州電力はこれまで、安定供給のために日々働く女性社員を紹介する「私の仕事」や、地熱の菅原バイナリー発電所(大分県九重町)を紹介するCMなどを展開。同社への信頼醸成、企業イメージ向上に努めている。

(電気新聞2016年11月2日付5面)