政府は7日の閣議で、今国会での成立を目指す「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(賠償廃炉機構法)改正案」を決定した。東京電力ホールディングス(HD)に対し、福島第一原子力発電所の廃炉に必要な資金を、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(賠償廃炉機構)に積み立てることを義務付けるといった措置を規定した。
世耕弘成経済産業相は7日の閣議後会見で、同法改正案の閣議決定の意義について、「今回の法改正によって、(福島第一の)廃炉に必要な資金がしっかりと賠償廃炉機構に積み立てられていくことになる。財政的にしっかりとした裏付けができる。これがこれからの廃炉作業の進捗に、プラスになってくるだろう」と説明した。
同法改正案の主な内容は「積立金制度の創設」と「事故事業者に対する立ち入り検査」。積立金制度では、東電HDが福島第一の廃炉に充てるために必要な資金を毎年度、賠償廃炉機構に積み立てる。また、着実に廃炉を実施するための資金計画について、経産相から承認を受けることを義務付ける。
立ち入り検査では、積立金額の認可に当たり、必要があれば経産省か賠償廃炉機構の職員が、東電HDの本社や現場などへ出向いて検査を実施することを可能にする。
今回の法改正は、長期にわたって巨額の資金需要に対応するための制度を国が整備し、福島第一の廃炉をより確実に進めていくための措置。施行期日は、公布から9カ月間以内の政令で定める日となっている。
(電気新聞2017年2月8日付1面)