エネコミ

2017年4月配信

2017年 2月9日
九州電力・川内1、2号の緊対所、耐震構造への見直しで設置変更許可

◆規制委「新基準は構造特定せず」

 原子力規制委員会は8日、九州電力川内原子力発電所1、2号機の緊急時対策所(緊対所)を免震構造から耐震構造に見直すことを柱とした原子炉設置変更申請を許可することを決定した。同日開いた定例会合で原子力規制庁が、一般からの意見募集(パブリックコメント)結果を踏まえた審査書案の修正版を諮り、了承。九州電力に設置変更許可証を交付した。
 九州電力は川内1、2号機が再稼働した後の昨年3月、緊対所と受電系統変更、常設直流電源設備の追加を盛り込んだ原子炉設置変更許可を規制委に申請した。再稼働の前提となった新規制基準適合性審査では、当面は耐震構造の代替緊対所を活用し、将来的に免震構造の施設を配備する計画を立てて許可を得ていた。
 許可後に計画を変更したこともあり、今回の申請を巡る審査では、変更後の緊対所で、既許可の計画と同等以上の安全性が保たれるかが問われていた。
 規制委は昨年11月末、九州電力の申請内容が「新規制基準に適合する」とした審査書案を取りまとめ、原子力委員会と経済産業相の意見を聞くとともに、約1カ月間、パブリックコメントにかけていた。パブコメには148件の意見が寄せられたが、緊対所の構造を免震から耐震に見直したことに対する批判的な声が全体の半数以上を占めた。
 こうした意見に対し規制庁は「新規制基準は構造を特定していない」などとして、審査書案の結論部分に変更はないと判断。微修正を加えた審査書案の修正版を8日の定例会合に報告した。
 委員から異論は出ず、審査書として確定。九州電力に対し設置変更許可を交付することを決定した。

(電気新聞2017年2月9日付2面)