経済産業省・資源エネルギー庁は14日、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)の下で2017年度に国民が負担する賦課金が、総額で約2兆1400億円になる見込みと発表した。標準家庭の年間負担額は8232円。標準家庭の電気使用量の減少と、比較的買い取り価格の安い事業用太陽光発電の運転開始比率が高まることを想定し、賦課金負担の伸び率は16年度に比べて抑えられるとみている。
16年度の賦課金負担総額は約1兆8千億円と見込んでいるため、17年度は16年度比で18.8%、約3400億円の負担増になる見通し。16年度と15年度を比較すると36%、約4800億円の負担増のため、伸び率は抑制される。17年度の1キロワット時当たりの賦課金単価は2.64円で、16年度比0.39円の増。
抑制される要因の一つは、標準家庭の電気使用量の減少を見込んでいる。16年度までの1カ月当たりの電気使用量は300キロワット時だったが、17年度見込みでは260キロワット時と置いた。月間使用量を260キロワット時に統一して比較すると、標準家庭の賦課金は17年度見込みは月間で686円、16年度は585円。年間負担額でみると16年度は7020円から17年度は8232円となり、1212円の増加。
17年度に導入される事業用太陽光発電が、買い取り価格1キロワット時当たり40円や36円といった高額案件から、比較的価格の低い案件に移り変わってくるとみている点も抑制理由の一つだ。
17年度の賦課金負担に回避可能費用5644億円を加えたFIT買い取り費用総額は2兆7045億円になる見通し。30年度の電源構成(エネルギーミックス)では買い取り費用を3兆7千億円~4兆円の間に抑える方針。4月1日の改正再生可能エネルギー特別措置法(改正FIT法)施行などによって抑制を図る。
(電気新聞2017年3月15日付1面)