【シカゴ16日=塚原晶大】米政府が16日まとめた2018会計年度(18年10月~19年9月)予算骨子の中で、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物最終処分について、ユッカマウンテン計画のライセンス活動再開が盛り込まれた。オバマ前政権下で凍結された同計画が再開する可能性が出てきた。使用済み燃料の大型中間貯蔵施設に関連する費用と合わせ、約1億2千万ドルをエネルギー省(DOE)予算に計上。一方、火力発電所を規制するためオバマ前大統領が打ち出した「クリーン・パワー・プラン(CPP)」など気候変動関係予算は資金供給を停止する。
トランプ政権として初となる予算骨子は「米国第一予算(America First Budget)」と銘打たれた。この中で、09年にオバマ前政権が凍結したネバダ州ユッカマウンテンの高レベル放射性廃棄物処分計画を再開させる方針を示し、テキサス州で計画される大型中間貯蔵施設建設プロジェクトと合わせた経費として約1億2千万ドルを計上した。
ユッカマウンテンは02年に最終処分場として選定されたものの、ネバダ州選出のハリー・リード上院議員(民主党院内総務)が強く反対したことなどを背景に、オバマ前大統領が凍結を決定。しかしリード上院議員の引退など再開に向けた環境は整っているとの声が上がっていた。ただ、ユッカマウンテン計画には共和党内でも意見が割れているとされ、再開に向けた動きがどのような時間軸で進むかは不透明だ。
環境保護庁(EPA)関連予算は大幅にカットされた。CPPや国連気候変動プログラムなど、オバマ前政権が重視した温暖化対策の政策に対する資金提供は中止するとしている。
(電気新聞2017年3月21日付1面)