原子力規制委員会は5日、九州電力川内原子力発電所1、2号機の特定重大事故等対処施設(特重施設)について、九州電力からの申請内容が新規制基準に適合しているとする審査書を正式に確定させた。同日、九州電力に対し原子炉設置変更許可を交付した。特重施設はテロ行為や意図的な航空機衝突などに備えるため、新規制基準で配備が義務化された。規制委の審査に合格したのは関西電力高浜発電所3、4号機に次いで2例目。
特重施設は、再稼働の前提となった原子炉本体などの工事計画認可(工認)取得から5年後までの配備が求められている。川内1号機は2020年3月、2号機は同年5月までに、それぞれ完成させる必要がある。
九州電力は15年12月に特重施設に関する原子炉設置変更許可を規制委に申請。規制委は非公開での審査を重ね、今年3月、「新規制基準に適合している」とする審査書案をまとめていた。
その後、原子炉等規制法(炉規法)に基づき原子力委員会と経済産業相への意見照会手続きを実施。原子力委からは「平和目的以外に利用されるおそれはないとする規制委の判断は妥当」、経産相からは「許可することに異存はない」との回答が寄せられた。
5日の規制委定例会合で原子力規制庁はこうした手続きの結果を報告。九州電力に対し原子炉設置変更許可を交付することに全委員が賛成した。
特重施設を巡っては13年7月の新規制基準施行当初、「施行から5年後」という猶予期限が設けられていた。しかし、再稼働の前提となる審査が遅れたことなどを理由に、「原子炉本体などの工認取得から5年後」に見直された経緯がある。
(電気新聞2017年4月6日付1面)