エネコミ

2017年4月配信

2017年 4月13日
九州電力と東京ガス、LNG調達で戦略提携/輸送船運用、融通拡大など

◆幅広い分野で協力検討

 九州電力と東京ガスは12日、LNG(液化天然ガス)調達の最適化に向けた戦略的提携の検討を行うことで合意したと発表した。両社が保有するLNG輸送船の運用を工夫して輸送費低減につなげるほか、既に緊急時の実績があるLNGの融通協力を、平時にも広げることなどを視野に入れる。
 年間LNG調達量(15年度実績)は東ガス1400万トン、九州電力400万トン。両社合計の調達量は年約1800万トンとなる。LNG自社船の数は東ガスが11隻(うち4隻は建造中)、九州電力が1隻。
 戦略的連携に向けて、両社で合意した検討内容は、LNG調達・輸送面の協力関係構築と両社リソースの弾力運用、緊急時を含む融通協力の関係深化の2つ。ただ、両社はこれ以外のテーマについても、幅広い分野で協議を進めるとしている。
 同日都内で会見した陣昭充・東京ガス総合企画部経営計画グループマネージャーは、「お互いが保有するLNG輸送船を弾力的に運用することで、互いの燃料費低減につながる」と提携効果への期待を示した。
 融通協力との関連で、九州電力の原子力発電所再稼働に伴い、同社のLNGに余剰が出た場合、東ガスで引き取るのかという記者の質問には「そういったものも対象になる」と述べた。
 また、満吉隆志・九州電力エネルギーサービス事業統括本部企画・需給本部燃料トレーディンググループ長は同日、福岡市で行った記者説明で「東京ガスとは、これまでも協力の経験があるが、今回の取り組みを通じてより戦略的なものにレベルアップする」と語った。
 LNG調達については、東京電力と中部電力が2015年4月に合弁会社JERAを設立。燃料事業統合を進めてきたことを契機として、他の事業者でも合従連衡の動きが進んでいる。東ガスは16年4月に関西電力ともLNG調達に関する戦略的連携で合意しており、今後、JERAの対抗軸として緩やかな形での連携が拡大する可能性もある。

(電気新聞2017年4月13日付3面)