エネコミ

2017年5月配信

2017年 4月20日
関西電力美浜1号など5基の廃止計画を認可/規制委が初の判断、3~4段階で措置

 原子力規制委員会は19日、原子炉等規制法(炉規法)に基づき提出された関西電力美浜発電所1、2号機、中国電力島根原子力発電所1号機、九州電力玄海原子力発電所1号機、日本原子力発電敦賀発電所1号機の廃止措置計画を認可した。規制委発足後に廃止措置計画が認可されるのは初めて。同日付で、保安規定の変更申請についても認可された。
 19日の規制委定例会合で認可案を了承した。認可を受けた5基は、いずれも2015年3月に廃炉の方針が示されていた。
 これらは運転開始から40年目以降に入っていた高経年化プラントで、出力も30万~50万キロワット規模と比較的小さい。40年超運転が認可された場合でも、新規制基準対応の追加投資や運転可能期間との見合いで採算性に乏しく、廃炉に関する国の会計制度が整ったことも各社の判断を後押しした。その後、炉規法に基づく廃止措置計画を各社がまとめ、16年7月までに認可申請されていた。
 規制委は審査の中で、廃炉中に使用済み燃料貯蔵設備から冷却水が大量に漏えいする事象の考慮や、解体工事に伴う同一サイト内で運用中の他号機への影響、放射線被ばくの低減策などについて確認を進めた。3月29日の定例会合で一度、5基の認可が諮られたが、原子力規制庁が示した審査結果に燃料集合体の落下事故時の評価条件を整理、明確化するよう委員から指摘があり、認可が見送られていた。
 19日の定例会合では、規制庁が事故時の施設周辺の一般公衆が受ける実効線量の記載について、評価条件を書き加えるなど審査書の一部を修正。委員から了承され、5基の廃止措置計画が正式に認可された。
 今後、各プラントは廃止措置を段階的に進めていく。敦賀1号機は3段階に分け、認可後約24年での完了を見込む。その他のプラントは4段階に分け実施し、完了時期は玄海1号機が43年度、美浜1、2号機、島根1号機が45年度を見込む。(2面に関連記事)

(電気新聞2017年4月20日付1面)