九州電力は24日、グループ会社の西日本技術開発(福岡市、村島正康社長)と共同で、「キューバ国再生可能エネルギー導入にかかる情報収集・確認調査」事業を国際協力機構(JICA)から受託したと発表した。同国離島への再生可能エネルギー導入基本計画の策定に加え、本島の火力発電設備更新に関する調査などを行い、電力の安定供給につなげる。調査期間は今月から2018年3月まで。
キューバにある発電設備の約9割は、内燃力や石油、ガスなどの火力。石油火力の多くは1970~80年代に運転開始しており、老朽化が深刻となっている。石油の輸入依存度も高く、エネルギー安全保障やコスト面の課題も抱えている。
キューバ政府は30年の最大電力需要を約470万キロワットと予想し、同年までに総発電設備容量を約760万キロワットに増強する計画だ。14年の最大電力は約320万キロワット、設備容量は約550万キロワット。また、再生可能エネの割合を24%(現状10%)まで引き上げる方針。この方針に沿い、同国政府が今回の調査事業をJICAに要請。JICAが実施した入札に九州電力が参加し、受託に至った。
再生可能エネの導入基本計画を策定するのは、キューバの南西部に位置する最大の離島「青年の島」(面積2419平方キロメートル、人口約8万6千人)。首都ハバナから約130キロメートル離れている。
本島については、火力設備の更新・新設に関するニーズの確認や妥当性の検討を行う。さらに、火力発電の高効率化や環境対策の提言、電力設備の塩害・ハリケーン対策の提言も受託業務に含まれる。
現地調査4回を予定しており、初回は5月に実施する。調査事業には九州電力が海外事業の強化を目的に今月体制を拡充した全額出資子会社キューデン・インターナショナル(社長=掛林誠・九州電力上席執行役員)も加わる。今後も九州電力グループとして、内外で蓄積してきた技術・知見を生かし、海外での事業機会の創出を目指す。
(電気新聞2017年4月25日付3面)