エネコミ

2017年6月配信

2017年 6月12日
川内原子力周辺火山、活動状況に変化なし/九州電力、規制委に評価を報告

 九州電力は9日、川内原子力発電所の保安規定に基づき、5つのカルデラ火山の2016年度モニタリング評価結果を原子力規制委員会に報告したと発表した。16年度を通じて地殻変動および地震活動に大きな変化が見られないことなどから、全てのカルデラ火山で「活動状況に変化はない」と評価した。
 モニタリング対象は川内原子力から160キロメートル圏内にある阿蘇、加久藤・小林、姶良、阿多、鬼界の5つのカルデラ火山。いずれも過去に大規模な破局的噴火を起こしていることから、同社は継続的に活動状況を確認している。
 カルデラ火山が破局的噴火する前には、カルデラをまたぐ観測点間の距離(基線長)が大きく伸びたり、地震活動が増大したりする顕著な変化が生じると考えられている。
 16年度のモニタリングでは5つのカルデラ火山全てで、こうした変化はないと評価した。また、同社は川内原子力のさらなる安全性・信頼性向上に向けて、地震観測体制の強化と南九州地域の地殻構造に関する研究を実施する。
 発電所周辺の地震活動状況をより詳細に把握するため、観測点を現在の19カ所から31カ所に増設する。鹿児島県の三反園訓知事の要請を踏まえたもので、観測結果については今後、定期的に公表する。
 一方、地殻構造に関する研究は、南九州地域の深部地殻構造と地震・火山活動との関連を明らかにすることが目的。同社の自主的な取り組みとして、鹿児島大学への委託研究を実施する。実施期間は17~19年度の3年間、研究費は約2億円。大隅半島~甑島の約160キロメートルにわたって、エアガンなどの大規模人工震源を用いた地下構造探査を行う。

(電気新聞2017年6月12日付2面)