九州電力は29日、日本郵船とLNG(液化天然ガス)輸送協力体制の構築に関する覚書を締結したと発表した。九州電力でLNGの短期需要が発生した場合、日本郵船の余ったLNG船を有効活用する。九州電力は柔軟な輸送体制を確保する一方、日本郵船は効率配船による収益力向上につなげる。九州電力はLNG調達の最適化に向けて戦略的連携の検討を東京ガスと進めており、用船に限れば3社間の連携が可能になった。
九州電力と東ガスは4月にLNG調達の最適化に向けた戦略的提携の検討を行うことで合意。両社が保有するLNG輸送船の運用を工夫して輸送費低減につなげるほか、LNGの融通協力などを視野に入れる。
両社が保有するLNG自社船は東ガスが7隻、九州電力が1隻で、連携を進める上で陣容が十分ではなかった。今回の覚書締結で、東ガスが九州電力を介して日本郵船のLNG船を利用することが可能になる。日本郵船の所有するLNG船は一部共同所有も含め70隻。年間LNG調達量(2015年度実績)は東ガス1400万トン、九州電力400万トン。
また、九州電力と日本郵船は、港湾で船舶の燃料としてLNGを供給する「LNGバンカリング」などの共同実施の可能性についても検討する。
同日、九州電力は日本郵船からLNG船1隻を用船した。オーストラリアのウィートストーンプロジェクトなどのLNG輸送に利用する。
(電気新聞2017年6月30日付1面)