◆5万トン受け入れ復興支援
九州電力は16日、7月の九州北部豪雨で発生した流木の受け入れを19日から開始すると発表した。苓北発電所(石炭、70万キロワット×2基)に丸太の状態で搬入し、所内でチップに加工。石炭と混ぜて発電用燃料として利用する。2019年3月までに最大5万トンを受け入れる計画だ。16日に丸太を苓北発電所に輸送する最初の船が出港した。苓北発電所の上枡正則所長は「(流木の受け入れは)ゼロからのスタートだった」と話しつつ、計画通り混焼を進めていく考えを示した。九州電力が発電用燃料の一部として流木を受け入れるのは初めて。今後も九州電力はグループ一体で九州北部豪雨被災地域の復興に尽力する考えだ。
九州電力は福岡県産業廃棄物協会と丸太購入について合意し、最大5万トンを受け入れる予定で、近く正式に契約する。今月19日から19年3月まで受け入れを行う。
福岡県の推計によると、7月の九州北部豪雨で20万5千トンの流木が発生した。大量の流木の存在は、復旧・復興の妨げとなっており、福岡県は19年3月末を目標に処理を完了すべく調整を進めていた。
回収した流木は矢部川浄化センター(福岡県筑後市)の2次仮置き場に集約する。福岡県産業廃棄物協会は、流木を破砕機にかけやすい状態に処理。根株の除去や表皮を取り除くなどした丸太を長洲港(熊本県長洲町)まで運んだ後、苓北発電所まで海上輸送する。
九州電力は、発電所に受け入れた丸太を構内貯木場に保管。導入した破砕機で直径4〜5センチメートルのチップに加工し、石炭と混焼する。
九州電力の瓜生道明社長は7月末の会見で、被災地の復興支援の一環として、流木を発電用燃料の一部として苓北発電所に受け入れる考えを表明。福岡県と調整が進んでいた。当初は流木をチップ化して苓北発電所に搬入する手法も検討されたが、木質チップよりも丸太を海上輸送する方が輸送効率が高いと判断した。
苓北発電所は現在、天草地域森林組合から木質チップを年間約5千トン受け入れており、こうしたことを踏まえて流木の受け入れ量を決定した。
福岡県は11日、福岡県東峰村の1次仮置き場から2次仮置き場へ流木の運搬を始めた。当面、2次仮置き場からの搬出は九州電力へのものが中心になる。福岡県は九州電力のほか、バイオマス発電所やセメント工場、県内市町村の焼却施設などに搬出する計画だ。
(電気新聞2017年10月17日付1面)