エネコミ

2017年11月配信

2017年 11月6日
九州電力、電力初のUCDAアワード受賞/分かりやすさ求める姿勢評価

 ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会(UCDA)が優れたコミュニケーションデザインを表彰する「UCDAアワード2017」の選考結果報告会(授賞式)が2日に都内で開かれ、九州電力が実行委員会特別表彰を受賞した。電力会社の受賞は初めて。パンフレットなどにUCD(ユニバーサルコミュニケーションデザイン)と呼ばれる技術を導入するなど、分かりやすい情報の提供に取り組んだ姿勢が評価された。
 授賞式では、UCDAの在間稔允理事長が九州電力の内村芳郎ビジネスソリューション統括本部地域共生本部広報部長に記念の盾を授与。内村部長は「九州電力でもお客さま、地域との双方向のコミュニケーションが非常に重要になっている。今回の受賞を機に、さらに情報品質の向上に努めたい」と述べた。
 同社はUCDを推進する人材育成に取り組んできた。10月には広報部門7人、営業部門5人の計12人がUCDAの資格認定制度「認定2級」を取得。4月には社員約150人を対象に、分かりやすい情報発信のポイントを学ぶセミナーも開催している。
 情報の「分かりやすさ」の品質を保証するUCDA認証の取得にも取り組む。同認証制度で「伝わるデザイン」として認証された電子パンフレット「日本のエネルギー事情」は、2日から同社ウェブサイトでも公開している。

◆エネ情報の発信、問題を可視化し改善

 九州電力では顧客との対話や広聴活動の中で、同社の情報発信について「専門的で表現が難しく、分かりにくい」などの意見が寄せられていた。これがきっかけとなり、広報部門を中心に情報コミュニケーションの問題点を可視化し、分かりやすく改善する技術「UCD」を今年度から導入することにした。
 事務局を務める広報グループの浜上剛樹副長は、「これまでは自分たちの基準や感性で判断していたが、専門家の知見などから評価・指摘を受け、分かりやすく情報を発信することの大切さがあらためて分かった」と強調する。
 今回の受賞対象となったパンフレット「日本のエネルギー事情」の作成では、テーマのエネルギーミックスが「唐突で説明がなく、分かりにくい」という指摘をUCDAから受けた。これを踏まえ、「『エネルギー源をバランス良く組み合わせる』という説明を付け加えることで改善した」(浜上副長)という。
 これ以外にも、あいまいな表現を避けたり、適正な文字量や多様な色覚のユーザーへの配慮などを行った上で完成。この結果、情報の送り手側の意図が適切に伝わり、ストレスを感じさせないなど、情報の伝達品質などが評価され、認証を取得した。同パンフレットは今後のコミュニケーション活動に活用していく予定だ。
 浜上副長は「分かりやすくポイントを整理した上で、社内にUCDの基準を広めたい」とするとともに、「当社が発行する他のパンフレット類などへ展開を図りたい」との抱負を語る。

(電気新聞2017年11月6日付2面)