九州電力は1日、太陽光発電などの再生可能エネルギー出力制御量の低減に向けて進めているシステム開発が、経済産業省・資源エネルギー庁の補助事業に採択されたと発表した。中国〜九州間連系線(関門連系線)を通じ、中国エリアに送る送電量を増やすため、自然変動電源も制御対象とした「転送遮断システム」を開発し、その実効性検証を行う。新システムによって関門連系線運用容量の30万キロワット程度の増加が見込めるという。
九州エリアでは現在、太陽光発電を中心とした出力変動電源が増加。春と秋の昼間時間帯などの電力需要が少ない時期に発電量が需要量を上回りそうな場合には、火力発電の出力抑制や揚水発電のくみ上げ運転などで需給バランスを調整するほか、連系線を通じて他エリアへの送電を行っている。
関門連系線の運用容量を維持するためには、事故時に九州エリアの電源を瞬時に停止し、周波数を維持する必要がある。九州電力によると、既存の「転送遮断システム」は制御対象となる電源が出力の安定した火力発電などに限られるが、新システムは再生可能エネを含めた最適な出力制御量を瞬時に計算し、制御を指示。対象電源に再生可能エネを加えることで、現在180万〜270万キロワットとなっている運用容量から30万キロワット程度上積みすることができる。
(電気新聞2018年3月2日付1面)