エネコミ

2016年5月配信

知っておきたいエネルギーのおはなし(1)

じぃじ、「電気は大切に使いましょう」って学校で教わったけれど、どうして大切に使わないといけないの? わたしのイラスト
じぃじのイラスト なぜだと思う…?
実は、今私たちが使っている電気のほとんどは、限りある資源からつくられているんだよ。
では、じぃじと一緒に調べてみようかね。

化石燃料の輸入に頼る日本のエネルギー構成

じぃじ 日本の一次エネルギー構成のグラフ右のグラフを見てごらん。これは、電気などのもとになる「一次エネルギー(注1)」の割合だよ。石油や石炭、天然ガスといった化石燃料をたくさん使っているんだ。(注1)一次エネルギー:
人間が利用するエネルギーのうち、変換加工する以前の、自然界に存在するもの。薪・木炭,石炭・石油・天然ガス、太陽放射・地熱・風力・水力・原子力など。原子力は一次エネルギーに入れない考え方もある。
わたし 本当だ…。石炭も多いんだね。知らなかったなぁ。
でも、石油や石炭って日本でたくさんとれるの?
じぃじ いいや。化石燃料はほとんど輸入しているね。石油はサウジアラビアやアラブ首長国連邦などの中東から多く輸入しているよ。石炭や天然ガスもオーストラリアなどから輸入しているんだ
わたし へぇー、世界のいろんな国から輸入してるんだ。
じぃじ 今度は下のグラフを見てごらん。これはそれぞれの国がどれくらいほかの国のエネルギーを頼りにしているかを示したグラフだよ。日本は約9割を輸入に頼っているんだ。ということは、日本が自力でまかなえる割合(自給率)は、わずか1割ぐらいなんだよ主要国のエネルギー輸入依存度のグラフ
わたし ふぅん。じゃあカナダやロシアはなぜグラフが下に伸びているの?
じぃじ いいところに気がついたね。カナダやロシアは資源が豊富にあるから、外国に輸出しているんだよ。

限りある資源とどのように向き合う?

じぃじ 化石燃料やウランは限りある資源で、今の使い方を続けていくと石油や天然ガスはあと約50年、石炭は約100年、ウランは約90年で使いきってしまうという計算もあるね。(注2)(注2):BP統計2013、OECD・IAEA「Uranium2011」
わたし え!私が大人になったときはなくなっているのかしら!?
じぃじ 石油は政情が不安定な中東からの輸入の割合が高いけど、もし輸入がストップしたりすると大変だ。じぃじが若い頃はオイルショックというのがあって、日本中が大騒ぎになったもんだ
わたし オイルショックって学校で聞いたことがあるよ。
じぃじ よく知ってたね。それから、化石燃料は燃やすと二酸化炭素が出るから地球温暖化も心配だね。
わたし ふぅん。いろいろ難しいんだね。

自然の力を活用したエネルギー

わたし 遠足で大きなダムを見たことがあるけど、水力発電所をもっとたくさんつくったらどうかなぁ。日本には火山もたくさんあるから、そういう自然の力を借りる方法もあるんじゃない?
じぃじ いいアイデアだね。実は日本には約2000か所の水力発電所があるし、地熱を利用した発電所もある。貴重な国産エネルギーだよ。ただし、水力発電所も地熱発電所も、どこにでもつくれるものじゃないんだよねぇ。
わたし そっかー。じぃじ、ほかに何かいい方法はないの?
じぃじ そうだねぇ。最近は太陽光や風力が注目されているね。環境にやさしく、資源としては無尽蔵だけど天候に左右されるなど、安定的に電気をつくりだすことが難しい点もあるんだ。今のところ、エネルギーの主力としては課題が残るけれど、これを利用しない手はないだろうな。
わたし なるほど。なんだかもっともっと、エネルギーのことを知りたくなっちゃった!じぃじ、また詳しくお話聞かせてね!
じぃじ よし、じぃじと一緒に勉強していこうね。
まとめ
 資源を持たない日本がどのような形でエネルギーを確保していくのか。簡単に答えが出る問題ではありません。ここで紹介したように、それぞれのエネルギーには一長一短があります。エネルギーの使い方は生活全般に影響を及ぼす問題であると同時に、私たちの選択が地球環境全体にも関連してくるとも言えます。
 続く世代のためにも、エネルギー利用のあり方については、ひとりひとりが知識を深め、様々な視点から議論していくことが大切です。今日、あなたの灯した明かりが、先々の未来までを照らすように、これからともに考えていきましょう。