エネコミ

2016年10月配信

知っておきたいエネルギーのおはなし(6)

じぃじ、私のおもちゃも石油でできてるって本当なの? わたしのイラスト
じぃじのイラスト そうだよ。
石油は色々な用途があるんだ。では今日は石油について学んでみようね。

様々な用途で暮らしを支える石油

じぃじ 石油といえば燃料というイメージが強いかもしれないけれど、国内で消費されている石油のうち、実に2割が化学製品の原料となっているんだよ。
わたし 化学製品って?
じぃじ 洗剤やプラスチック製品なんかがそうだね。じぃじが着ているこの服も、石油から作られた化学繊維を使っているよ。
わたし へえ!すごく身近なものばかりだね。
じぃじ もちろん燃料としての用途は大きくて、全体の4割が工場や、家庭での熱源として使われているんだ。じゃあ、残りの4割は、なにに使われていると思う?
わたし えーっと…、わかった!車を動かすのに使うんじゃない?
じぃじ そのとおり。車のほかにも、飛行機や船など、乗り物の動力源になって輸送を支えているんだ。もしも石油が不足して物流が止まったら、今の生活を維持するのも難しいだろうね。
世界のエネルギー資源確認埋蔵量のイメージ
わたし 石油ってほんとに暮らしに欠かせないものなんだね。
じぃじ そうだね。でも石油ばかりに頼っていても大変なことになるんだよ。

オイルショックで学んだ貴重な教訓

じぃじ 下のグラフは、発電電力量の割合の変化を示したものだよ。1973年度には約7割を石油が占めていたことがわかるね。石油は今は割高だけど、当時は多く流通して比較的安かったんだ。
世界のエネルギー資源確認埋蔵量のイメージ
わたし あれ?2010年度には1割以下にまで減ってる。どうして?
じぃじ 1973年といえば、オイルショックが起こった年だね。
日本でもその影響はとても大きくて、特定のエネルギーに依存することの危険性を身をもって知ったんだ。それから長い年月をかけて、石油への依存度を減らし、複数のエネルギーを組み合わせて使うようになったんだよ。
ただ、東日本大震災後は、原子力発電所が停止した分などをまかなうために、火力発電所の稼働が増えたので、石油の割合も増えているよ。

他のエネルギーとともにバランスよく石油を使う

じぃじ オイルショック後に割合を減らしたとは言え、石油による発電には一定の役割があるんだ。石油は運搬しやすく供給網も整っている。それに、貯蔵しやすいから、資源の少ない日本では石油をある程度備蓄している。
だから、他の電源が失われたときなどに代替として活用することができるんだよ。
わたし へえ、そうなんだ。
じぃじ 震災のときに色々な発電所が停止したことを覚えているかな?あのときも石油火力発電所をフル稼働させることで電気をまかなうことができた。石油は電力安定供給の「最後の砦」とも言われるんだよ。
わたし 緊急のときにしか電源にはならないの?
じぃじ それだけじゃないよ。起動や出力の調整が短時間でできて、電力需要の変動に対応しやすいから、一日のうちで最も需要が大きい昼間の時間帯に活用されることもある。
わたし ピーク電源だ!
じぃじ よく勉強しているね。
わたし 石油には大事な役割があるんだね。大切に使わなくちゃ。
じぃじ そうだね。いま、日本の一次エネルギーの4割超が石油なんだよ。同時に、石油のほぼすべてを輸入に頼っている。これからも使い続けていくためには他のエネルギーと組み合わせながら、上手に使っていくことが大事なんじゃないかな。
まとめ
 オイルショックを境に日本のエネルギー政策は大きく方向転換し、長い年月をかけて石油への依存度を低減させてきましたが、東日本大震災以降、石油火力発電の割合が再び高まってきています。
 石油は日本の一次エネルギーの4割を占め、暮らしを支えていますが、ほぼすべてを輸入に頼っています。次の世代のためにも、他のエネルギーとともにバランスよく利用していく必要があるといえます。