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今回は石油について前回とちがう側面からも見てみようね。 |
うん!じぃじ、石油についてもっとしりたいな。 | ![]() |
じぃじ | 前回は、石油が燃料以外にも化学製品の原料など、様々な用途で使われていることを見てきたね。石油火力発電は他の電源が失われたときの代替電源や、ピーク電源として一定の役割を担っていることも学んだね。 |
わたし | 石油は大切なエネルギー源なんだよね。 |
じぃじ | そう。国のエネルギー基本計画にも「今後とも活用していく重要なエネルギー源」と明記されているよ。 |
じぃじ | 今日は、はじめに石油の経済的な課題を考えてみよう。 |
わたし | 経済的な課題って? |
じぃじ | 簡単にいうと、価格のことだよ。 下のグラフをみてみよう。これは「原油価格の推移」を表したものだよ。まず、1973年10月のところに注目してみよう。原油価格が 1バレル(注1)あたり2~3ドルから10ドル以上に高騰しているね。(注1):1バレル=約159リットル |
わたし | あ、最初のオイルショックが起きた年だ! |
じぃじ | そうだね。 第四次中東戦争をきっかけに起きたオイルショックが原油価格にも大きな影響を及ぼしたんだ。その後、1990年代に入ると20ドル程度で推移していたけれど、2000年を過ぎると再び上昇して、2008年頃には130ドル以上にまで急騰している。その後も高い水準を保っているね。 |
わたし | どうしてこんなに値段が変わるの? |
じぃじ | 石油は市場取引されているから、世界の政治や社会情勢、経済状況に応じて価格も激しく変動するんだ。 |
わたし | うーん、たとえばどういうこと? |
じぃじ | 戦争や、経済成長を続ける新興国の需要の急増などが価格に影響を与えるんだ。それから最近は、ドル相場や他の商品市場との関係によっても上下しているよ。 |
わたし | いろんな原因がからみあってるんだね。 |
じぃじ | 次は下のグラフを見てみよう。石油火力発電は、他の電源に比べて発電コストが高いことが分かるね。 |
わたし | ほんとうだ。 |
じぃじ | それでも電力の安定供給を考えると、石油はやっぱりなくてはならない存在なんだ。たとえば、九州には離島がたくさんあるね。そこでは石油を活用した発電が行われているんだよ。 |
わたし | 離島って、対馬とか壱岐とか? |
じぃじ | そのとおり。ほかにも鹿児島県の奄美大島や種子島など九州内の34箇所(注2)でディーゼル発電装置を使った"内燃力発電所"が稼働しているよ。(注2):2016年現在 |
わたし | "内燃力発電所"って? |
じぃじ | 重油を燃料にしてディーゼルエンジンを動かし、その力で発電機を回して電気をつくるんだ。本土と送電線でつながっていない離島では、こうした装置を使って発電し、島内の電力をまかなっているんだ。 ディーゼル発電装置は取り扱いが容易で、始動・停止が早くできるから、刻々と変化する島内の電力需要に素早く対応できるんだよ。 |
わたし | なるほど。石油って本当にいろんなところで必要とされているんだね。 |
じぃじ | そう。石油が頼りになるところも多いから、いろいろなエネルギーと組み合わせて上手に使っていくことがやっぱり大切なんだ。 |
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新壱岐発電所(長崎県壱岐市)。 九州には数多くの離島があり、全国(沖縄電力を除く)にある内燃力発電所のうちの約6割を占める。 |