じぃじ、この前行った温泉、楽しかったね! | ![]() |
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今回は温泉とも関係の深い「地熱」のおはなしだよ。 |
わたし | じぃじ、温泉が温かいのは、お湯が地下で温められているからって、ほんと? |
じぃじ | そうだよ。マグマの熱で温められた地下水を利用しているんだ。マグマの熱は電気を作るのにも使われているよ。 |
わたし | へえ!でも、どうやってマグマで電気をつくるの? |
じぃじ | 火山などがある場所の地下には、約1000度のマグマがあるんだ。このマグマによって加熱された地下水が、すごく高い温度の熱水や蒸気になって地下深くの岩石の割れ目などにたまっていることがあるんだ。ここに井戸を掘ると熱水や蒸気が勢いよく出てくる。この蒸気の力で発電することを「地熱発電」とよぶよ。 |
わたし | 地球がお湯を沸かして蒸気をつくっているの? |
じぃじ | そうなんだ。蒸気で発電するところは火力発電と同じ。火力発電のボイラーの役割を地球がしてくれるんだ。 |
わたし | わたしの住んでる町の近くにも地熱発電所はあるの? |
じぃじ | 九州には地熱発電所がいくつもあるよ。九州電力の地熱発電設備は全国の4割を占めている。国内最大の地熱発電所も、大分県にある「八丁原発電所」で、約11万kWもの発電出力を誇るんだよ。 |
わたし | 日本最大の地熱発電所が九州にあるんだね!知らなかった。 |
八丁原発電所
じぃじ | 地熱発電所はマグマの熱で作られた天然の蒸気の力で発電している。燃料を燃やしているわけではないので、発電時にCO2を出さないんだ。 |
わたし | 地球に優しいエネルギーなんだね。 |
じぃじ | そう。それに、風力発電や太陽光発電など、自然の力を使う発電方法は他にもあるけれど、発電できる時間が限られていたり、天候や季節に左右される部分も大きい。でも地熱発電は1年を通じて一定量を発電できる安定的なエネルギーなんだ。それに純国産エネルギーだから、輸入に頼る化石燃料の節約にもつながるんだよ。 |
わたし | じゃあ、地熱発電がもっともっと増えたらいいね! |
じぃじ | そうだね。でも、地熱発電所がつくれそうなところは貴重な自然公園の中の場合が多いから、発電所をつくるには制約が大きいんだ。最近、規制が緩和されて開発の可能性が広がったけど、それまでは調査もままならなかったんだ。それに地熱の開発ってとても難しいんだよ。地熱発電所を新しく開発するためには、地下の深くまで調査して、データを取って計画を立てる必要があるんだ。でも、最新技術を使っても、地下の蒸気の量などを完全に予測することは難しいから、たくさんの時間とお金をかけて開発しても予想通りの蒸気が確保できないかもしれないというリスクがあるんだ。 |
わたし | 地熱発電所をつくるのは、とっても大変なことなんだね。 |
じぃじ | 一方で、これまでは利用できなかった低い温度の蒸気や熱水を使った「バイナリー発電」というのも進められているよ。地熱発電にはそのまま利用できない低温の蒸気や熱水で、水より沸点の低いペンタンなどの液体を温めて蒸発させるんだ。その蒸気でタービンを回して発電するんだよ。これなら、温泉の熱の利用など地熱発電の可能性が広がるんだ。 |
わたし | へえ。地熱発電を上手に使えるよう日々進歩しているんだね。 |
温泉・別府の名物も「地熱」のおかげだった!地獄釜
別府の温泉街でもうもうと白煙を上げている地獄釜。温泉の蒸気を利用し、野菜や魚、肉、卵などを蒸し上る名物です。
高温の蒸気を一気に当てることによって、食材のうま味を逃がさない料理法は江戸時代から伝わっています。
写真提供/里の駅かんなわ