エネコミ

2017年5月配信

知っておきたいエネルギーのおはなし(11)

じぃじ、CO2削減ってなあに? わたしのイラスト
じぃじのイラスト 難しい言葉を知っているね!
よし、一緒に勉強しよう。

CO2削減は地球規模の課題

じぃじ CO2(二酸化炭素)などが増えると地球上の熱が逃げにくくなって、地球全体の気温が上がるといわれているんだ。こういうものを「温室効果ガス」と呼んでいるよ。温室効果ガスには、二酸化炭素やメタン、フロンガスなどがあるが、二酸化炭素が一番影響が大きいんだ。
わたし 地球があたたかくなるのはよくないことなの?
じぃじ 「地球温暖化」っていうんだけど、気候が変わって干ばつや洪水などの異常気象が起きたり、一説には南極の氷が溶けてしまい、海面からの高さが低い島国などが水没してしまうおそれがあるともいわれているよ。
わたし それは大変だね!
じぃじ だから、その原因となるCO2を減らすことが地球全体の大きな課題となっているんだ。
わたし それがCO2削減なんだね。
じぃじ 日本で見ると、そのCO2のおよそ9割が工場や家庭、発電所から出るんだ。
わたし すごく身近なところから出てるんだね。
じぃじ だからこそ、みんなで協力してCO2を減らしていかないといけないんだ。
地球温暖化のイメージ

日本が目指す2030年度に向けての削減目標

じぃじ 温暖化は地球全体の問題だから、世界の国々が協力して解決しないといけないんだ。
わたし 日本だけの課題じゃないんだね。
じぃじ そうだね。だからこそ、温室効果ガスを減らすためにみんなで協力していかないといけないね。2015年12月には世界の国々が集まり、地球温暖化対策のための2020年以降の新しい枠組みをつくるため、COP21(第21回気候変動枠組条約締約国会議)というのがフランスのパリで行われ、世界の平均気温上昇を2度未満に抑えるといった内容の「パリ協定」が採択されたんだ。削減目標は日本が世界に向けた約束だから、責任をもって守らないといけないよ。
パリ協定-主要排出国の削減目標のイメージ

目標達成への鍵は、バランスの良い「エネルギーミックス」

じぃじ 実は、この温室効果ガスのひとつであるCO2排出量削減のカギを握っているのが、電気をつくる時の発電方法なんだ。
わたし どういうことなの?
じぃじ 火力発電で石炭や石油、天然ガスを燃やすと大量にCO2が発生するんだ。東日本大震災以降、火力発電が増えているから発電にともなうCO2の排出量も増えているんだ。
わたし 発電方法を考えるときはCO2のことも併せて考えないといけないね。
じぃじ そうなんだ。日本のこの温室効果ガス削減目標は、日本全体の「エネルギーミックス」を踏まえて考えられているんだ。
わたし エネルギーミックスってなあに?
じぃじ 太陽光や原子力、石油・石炭等、いろいろな発電方法の特徴と課題を踏まえて、もっとも良い組み合わせにすることをいうよ。
2030年度のエネルギーミックスのグラフ
わたし でもさ、CO2を出さない方法だけで発電すればいいんじゃない?
じぃじ それがなかなか簡単にはいかないんだよ。例えば、原子力発電や太陽光・風力などの再生可能エネルギーは、発電時にCO2を出さないという点では優れているんだ。でも再生可能エネルギーは、自然が相手だからどうしても天気に左右されるなど、不安定なところがあるんだ。また、現在の再生可能エネルギーは他の発電方法と比べて、同じ量の電気を作るための費用が高いという側面もあるよ。一方、原子力発電は、安全性の確保が大前提だね。
わたし どの発電方法も、一長一短があるんだね。
じぃじ そう。一つで全てが解決するエネルギー源というのはないんだ。安定して供給できるか、費用がどれくらいかかるのか、CO2排出はどうなのかといったことをトータルで考えて、バランスよく組み合わせることが大切なんだよ。
エネルギーミックスの視点のイメージ
まとめ
 日本では2030年度に向けたエネルギーミックスを決定し、CO2等の温室効果ガス排出量を26%削減する目標を立てました。発電がCO2排出量削減の大きなカギを握っていますが、エネルギーミックスでは、CO2排出削減などの“環境への適合”だけでなく、資源の乏しい日本での“安定供給”や、できるだけ安価に供給する“経済効率性の向上”なども総合的に考えて、最適なバランスの発電方法の組み合わせを目指すことになっています。