世耕弘成経済産業相は22日、佐賀県庁で山口祥義知事と面談し、九州電力玄海原子力発電所3、4号機の再稼働を巡って意見を交わした。世耕経産相は同日午前に行った視察を踏まえ、「私自身の目で玄海の安全対策が着実に進展していることや現場が誇りと気概を持って安全対策に取り組んでいることを確認した」と知事に伝えた。面談後に報道陣の取材に応じた山口知事は、世耕経産相から原子力政策は「国が責任を持って取り組むという強い決意の言葉があった」と評価した。
山口知事は県内5カ所で行われた県民説明会や各界の代表者で構成される「玄海原子力発電所の再稼働に関して広く意見を聴く委員会」などを通じ、再稼働に関する議論を進めてきたことを説明。(1)国による原子力規制の充実強化と事業者への指導監督の徹底、特にヒューマンエラー防止の指導(2)使用済み燃料対策などバックエンド対策の加速(3)原子力に依存しない社会構造の確立を目指す(4)国が前面に立ち原子力の安全性を説明(5)避難計画の充実など原子力災害対策の継続的見直し(6)立地地域のさらなる振興対策――の6項目を世耕経産相に要請した。
面談終了後の取材で世耕経産相は、同日午前に行われた玄海視察の際に九州電力の瓜生道明社長から、同社に根付く「電力の安定供給」に並ぶ新たなDNAとして「原子力の安全確保」を加えたいという言葉があったと紹介し、「非常に重い言葉だ」と強調した。
また、地元同意手続きの法制化について必要性を問われ「地元といってもケース・バイ・ケース」と説明。「一律に法律で縛るよりは地域の状況に合わせて対応した方がよいということだと思っている」と述べた。
世耕経産相は面談終了後、九州電力川内原子力発電所を視察した。
(電気新聞2017年4月25日付2面)