エネコミ

2017年6月配信

2017年 6月12日
関西電力高浜3号機を並列、送電再開/夏季供給力に安定性

 関西電力は9日、高浜発電所3号機の並列作業を約1年4カ月ぶりに実施し、送電を再開した。工程が順調に進めば、7月4日にも原子力規制委員会の最終試験を受け、営業運転に入る予定。既に高浜4号機は送電を再開しており、関電で原子力2基から送電される状態となるのは大飯発電所3、4号機以来、約3年9カ月ぶりとなる。2基ともプルサーマル発電による送電を実施。需給が厳しい夏を前に2基からの発電電力が加わることにより、供給安定性がさらに向上することになる。
 高浜3号機の送電再開を受け、関電の岩根茂樹社長は同日、「原子力の安全確保に終わりはなく、さらなる安全性をたゆまず向上させていくとの強い意思と覚悟の下、安全最優先で緊張感を持って、慎重に作業を進めていく」とのコメントを発表した。
 高浜発電所の中央制御室では、18人の運転員が並列操作に携わった。豊松秀己副社長・原子力事業本部長をはじめとする関電社員に加え、原子力規制庁や福井県、高浜町の職員らが見守る中、運転員は電圧と位相、周波数を調整。午後2時に発電機の並列を行うスイッチを「入」にし、発電機と系統を接続した。
 一方、大阪市内の中央給電指令所の系統監視盤では、出力の発生値である「18メガワット」が表示され、高浜3号機を表示するランプがグレーから赤に変化。その後、出力5%の4万3500キロワットを超え、順調に出力が上昇した。
 送電再開直後に高浜町内で会見した関電の大塚茂樹執行役員・原子力事業本部副本部長は、「しっかりと安全に1年間、運転させないといけないという使命感、責任感を感じている。常に緊張感を持って、安全最優先でプラントを運転していきたい」と意欲を示した。
 高浜4号機は16日、3号機は7月4日にも営業運転に入る見通し。2基の営業運転開始後に、関電は料金値下げを経済産業省に届け出る方向で検討しているもよう。経産省は値下げ幅の適正性などを有識者会合に諮るため、審査には一定の時間がかかることから、料金値下げの実施は今夏以降になる。

(電気新聞2017年6月12日付1面)

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