◆「一定の原子力が必要」
電気事業連合会の勝野哲会長は16日の定例会見で、エネルギー基本計画見直しに向けた政府による今後の検討に関連し、「2030年以降の長期にわたり、『S+3E』が実現できるよう着実に取り組んでもらいたい」と求めた。現行の計画では原子力発電の新増設・リプレースは想定されていないが、「事業者としては技術と人材を維持しなければならず、先々も一定の原子力比率が必要になる」との見解をあらためて示した。(2面に会見要旨)
エネルギー基本計画は3年ごとに見直され、今年が改定時期に当たる。現行計画における原子力比率は30年断面で20~22%。政府は既存の原子力発電所の延長運転が認可され、60年間運転ができれば、この比率を達成できるとして、新増設・リプレースは想定していないとの立場を取っている。
勝野会長は会見で、現行計画の改定作業に当たっては、「長期的な視点の中、資源に乏しい日本のエネルギー事情を勘案し、長期にわたって『S+3E』が実現できるような政策を期待したい」と述べた。発電、廃炉いずれにも「技術と人材を確保しなければならず、一定比率の規模は必要。おのずとそういう議論になっていくのではないか」とした。
また、関西電力高浜発電所3、4号機が発電再開したことについては「持続可能な安定供給を確保するという観点からも発電再開の意義は極めて大きい」と強調。その上で、「他のプラントでも引き続き新規制基準適合性審査に真摯に対応し、一日も早い再稼働を目指す」と述べた。
一方、環境省が検討する「カーボンプライシング」(炭素の価格付け)を巡っては、国内での温室効果ガス排出規制強化によって生産拠点の移転が進み、他国で排出量が増えるなど「カーボンリーケージ」の可能性といった様々な観点を踏まえ、「慎重に検討を進めることが必要」と指摘した。
(電気新聞2017年6月19日付1面)