原子力規制委員会は18日、九州電力玄海原子力発電所3、4号機が新規制基準に適合しているとして、九州電力に対し原子炉設置変更許可を交付した。2013年7月に施行された新規制基準をクリアしたのは10基目。いずれもPWR(加圧水型軽水炉)だが、蒸気発生器(SG)が4台ある「4ループ」型では玄海3、4号機が初めて。九州電力の申請プラントは再稼働済みの川内原子力発電所1、2号機に続き、全てが新規制基準の要求を満たした。再稼働に向けては工事計画認可(工認)などの審査が残るほか、地元同意プロセスにも注目が集まる。
玄海3、4号機は13年7月、規制委に審査を申請。基準地震動(Ss)の妥当性や阿蘇カルデラのモニタリング体制、緊急時対策所(緊対所)の機能などが主な論点になった。昨年11月に規制委は、新規制基準に適合したことを示す「審査書案」をまとめ、1カ月間のパブリックコメント(意見募集)を実施。約4200件の意見が寄せられた。
18日の定例会合で原子力規制庁は、パブコメでの意見を一部反映した審査書の修正版を提示。委員から異論はなく、全会一致で設置変更許可を決定。同日、規制庁の市村知也・安全規制管理官が九州電力の中村明取締役・常務執行役員に許可証を手渡した。許可を受けて中村常務は記者団の取材に「第一歩が始まった段階。工認や使用前検査などに一歩一歩、対応していく」と語った。
一方、九州電力は今回の許可とは別に、使用済み燃料貯蔵プール増強(リラッキング)の申請を出しており、新規制基準を踏まえた申請内容への変更などの対応が迫られる。田中俊一委員長は使用済み燃料保管方法について乾式貯蔵が望ましいとの見解を繰り返しており、18日の定例会見でも「より安全な方法を目指すべき」と述べた。これに関し中村常務は「総合的に勘案し、あらためて申請を出したい」とした。(2面に関連記事)
(電気新聞2017年1月19日付1面)