佐賀地方裁判所(立川毅裁判長)は13日、九州電力玄海原子力発電所3、4号機の再稼働差し止めを求めた市民団体の仮処分申し立てを却下した。争点は基準地震動(Ss)の設定に用いた計算式の妥当性と、経年劣化した配管の安全性についてだった。佐賀地裁は、玄海原子力発電所の安全性に欠けるところがあるとは認められないとの判断を示した。市民団体は佐賀地裁の決定を不服とし、福岡高等裁判所に即時抗告する考えだ。
市民団体は「入倉・三宅式」によるSs算出は誤りだと主張。Ssが過小評価されているため、耐震基準を満たしておらず、耐震安全性が確保されていないとの持論を展開してきた。これに対し、佐賀地裁はSsに関わる新規制基準の内容は相当の根拠、資料に基づいたもので合理性があると評価。原子力規制委員会の審議、判断過程も厳格かつ詳細に行われたとした。また、Ss策定の基本的な枠組みも合理的だとした。
市民団体が配管の損傷が重大事故に至る危険性を指摘したことについて、佐賀地裁は2007年に見つかった玄海2号機の配管ひび割れ事象はより早期に発見することが可能だったと指摘。その一方で保守点検体制に重大な不備があったとは認められないと判断した。
仮処分の申し立てを行った「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」の石丸初美代表は佐賀地裁の仮処分申し立て却下を受け、「強く抗議する」と主張。「これからも裁判闘争に全力を尽くす」と述べた。
九州電力は同日、仮処分棄却について、「今回の決定は、玄海の安全性は確保されているとの当社のこれまでの主張が裁判所に認められたものであり、妥当な決定を頂いたものと考えている」とするコメントを発表した。
(電気新聞2017年6月14日付1面)