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電磁界の影響で小児白血病02

「0.4μT以上の磁界で、小児白血病の発症率が2倍以上になる。」という新聞報道がありましたが、電磁界はやはり健康に悪影響をおよぼすのではありませんか?

確かに文部科学省が、平成15年1月28日に公表した電磁界に関する疫学研究結果については「0.4μT以上の磁界で小児白血病のリスクが有意に上昇するパターンを示す。」と報告書に記載されていますが、この研究成果について同省は「本研究結果の下に健康リスクを評価することは不適切である。」「本研究の科学的価値は低く、科学的・技術的波及効果も期待できない。」との評価を行っています。したがって、本研究結果により、これまでの「人の健康に悪影響を及ぼす明確な証拠はない。」とする公的機関の見解が変わるとは考えられません。

国立環境研究所他の疫学研究

研究概要

  • 件名:生活環境中電磁界における小児の健康リスク評価に関する研究
  • 目的:生活環境における電磁界について疫学調査を行い、電磁界の人の健康影響を科学的に評価する。
  • 期間:1999年から2001年度
  • 費用:7.2億円(文部科学省 科学技術振興調整費)
  • 概要:小児白血病の症例(患者)約310例と、性・年齢・居住地の人口規模が一致した対照(健康者)約600例について、子供部屋での磁界暴露状況を比較解析したもの。

研究成果の概要

  • 子供部屋の平均磁界レベルが0.4μT以上のみで小児白血病のリスクが有意に上昇するパターンを示すこと、また、それ以下の磁界レベルではリスク上昇傾向は認められない。
  • 急性リンパ性白血病ではリスクが示唆されるが、急性骨髄性白血病ではリスク情報は認められない。

文部科学省 科学技術・学術政策局の研究成果に対する評価

  • 磁界が0.4μT以上で小児白血病のリスクが有意に上昇する傾向を示しているが、症例数が少なすぎる上に、他の交絡要因(大気汚染などの磁界以外の影響要因)の影響の除去が適切であるか不明なことなどから、研究の結果が一般化できるとは判断できない。
  • 症例数等が当初の予定を大幅に下回ったことなどは、研究の方法論に問題があった可能性があり、本研究結果の下に健康リスクを評価することは不適切である。
  • 収集した情報等の整理が不十分な現状においては、本研究の科学的価値は低く、科学的・技術的波及効果も期待できない。
  • 高圧線との関係については検討されていないにもかかわらず、研究者がそれについて言及していたことは誠に遺憾である。
総合評価 目標達成度 目標設定 研究成果 研究体制 中間評価の反映 生活者の観点
科学価値 科学的波及効果 情報発信 代表者 連携等 成果価値 波及効果
c c (注)c-2 c c c c c c c c

評価:a、b、cの3ランク評価で、cは最も低い評価

(注)目標設定のc-2は「設定が高すぎる」を意味する